コラム

これからのウェアラブルデバイスの一つの方向性を示唆する:Bragi Dash

2016年05月13日(金)16時10分

生体センサーを内蔵し防水性能も備えたワイヤレスイヤフォン:Bragi Dash

イヤフォン型ウェアラブルデバイスの可能性

 Apple Watchのようなウェアラブルデバイスは、手放せなくなるユーザーと、自分には合わないと感じて使用しなくなる人に分かれる傾向にある。それは、アップル自身が、Apple Watchを自社のラインナップで「最もパーソナルな製品」と呼んでいることからも、十分理解できる現象だ。

 パーソナルコンピュータやスマートデバイスは、すでに必要があって利用する機器になっているといえるが、ウェアラブルデバイスは今のところライフスタイル製品であり、生活や行動パターンによっては必需品ではない。そのため、たとえばApple Watchを1日に1度は充電する必要があるという点ひとつとっても、それだけで敬遠する人と、それでも利便性から使い続けるユーザーが出てくるのである。

 ちなみに筆者は、いずれにしてもiPhoneは1日1回充電するので、Apple Watchも同時に充電することは苦にならない。時計をはずしてどこかに置くのと同じ感覚でチャージャーにのせればよいだけのことだ。

 腕時計は、かつては必需品だったが、今はスマートフォンなどで時刻を確認する人も多くなり、「時を計る」道具としての存在意義は薄れて、宝飾品やファッションアイテム、ステータスシンボル的な意味合いが強くなった。アップルが、あえて腕時計型のウェアラブルデバイスを開発した理由は、デザイン担当副社長のジョナサン・アイブらが時計好きということもあるが、身につけて情報を確認する上で手首に装着する機器が適切だったことや、付加価値をつけやすい製品分野だという点が大きい。

 前置きが長くなったが、アップルが特許を申請し、腕時計型とは別に検討を行っている可能性があるウェアラブルデバイスの形態として、ヘッドフォン/イヤフォン型のものが考えられる。

bragi_dash_black_explosion.jpg

従来のヘッドフォン/イヤフォンではほとんど見られなかった特徴もある

プロフィール

大谷和利

テクノロジーライター、原宿AssistOnアドバイザー、NPO法人MOSA副会長。アップル、テクノロジー、デザイン、自転車などを中心に執筆活動を行い、商品開発のコンサルティングも手がける。近著に「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか」(現代ビジネスブック)「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著・三省堂)、「東京モノ作りスペース巡り」(共著・カラーズ)。監修書に「ビジュアルシフト」(宣伝会議)。

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