コラム

コロナ危機が招いた株価バブルは2021年に終わる

2021年02月12日(金)15時00分

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ビットコインの価格変動が経済と連動していなくても、誰も不思議には思わない KIM HONG-JI-REUTERS

さらにコロナ危機は、格差を直撃する。アメリカで医療をきちんと受けられるのは富裕層で、彼らは、コロナショックでも資産は増えているし、コロナによる死も切実ではない。だから、株価が上がることで浮かれ、さらに投資を増やす。

実際、ロビンフッド投資家や、バブルに乗っている投資家たちが買っている株は、コロナで恩恵を受けている企業の株である。アップルであり、マイクロソフトであり、これらの企業は、利益が急増し、史上最高益を大幅に更新している。

間もなく尽きる財政出動

だから、株価が上がるという期待は自己実現し、さらに期待は膨らみ、資産も膨らんでいるから、欲望が膨らみ、さらに株へ買いが集まり、さらにバブルは膨らんでいるのである。

従って、問題は今がバブルかどうか、ということではなく、このコロナバブルがいつ弾けるのか、という点である。これは、2021年に弾ける。21年1月にバブルがさらに勢いを増して膨らんだからだ。

バブルが弾ける理由はただ一つで、膨らみ過ぎることによって弾けるのである。バブルが弾けるのを回避するには、バブルをしぼませるか、さらに膨らませるしかない。バブルの本質とは定常状態にないことなのだ。

前述したように、買うから上がる。上がるから買う。上がるという期待が、実際に買うことで実現し、それによりさらに期待が膨らむ。そして、これを羨む新しい買い手が参入し、さらに上がる。これがバブルである。

バブルが起こる原因は存在しない。あるいは、特に論理的な意味はないから、考える意味はない。しかし、バブルが膨らみ継続する理由は、論理的なので考察する価値がある。

では、今回のコロナバブルが膨らんでいる要因は何だろうか。前述したように、金融緩和による大量の流動性であり、財政出動である。現在の金融緩和と財政出動は、既に限界を超えている。限界を超えて出動し続ければ、財政は破綻する。金融緩和は効果がなくなるどころか、副作用しかなくなる。

従って、今後の金融緩和による流動性の追加はない。財政出動も間もなく尽きる。アメリカは、バイデン就任のハネムーン期間に出せるだけ出して、その後はない。日本は既にない。

プロフィール

小幡 績

1967年千葉県生まれ。
1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現財務省)入省。1999大蔵省退職。2001年ハーバード大学で経済学博士(Ph.D.)を取得。帰国後、一橋経済研究所専任講師を経て、2003年より慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應ビジネススクール)准教授。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。新著に『アフターバブル: 近代資本主義は延命できるか』。他に『成長戦略のまやかし』『円高・デフレが日本経済を救う』など。

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