日本人が「ジャニーズの夢」から覚めるとき
喜多川擴氏が生んだ「夢」
カウアン氏は会見で、「僕の願いですけど、やっぱり全員出て来た方がいいなと思っていて」と語っていた。私もその呼びかけに微力ながら勝手に「MeToo」と応えたいと思う。私の場合はそこまで深刻な被害ではないかもしれないが、性別を問わず、性暴力をなくしたいという思いは同じだ。
私は例えば20代の頃、顔馴染みになったバーで中高年の男性店主から、ある時帰り際に突然下着のなかに無理やり手を突っ込まれ、陰部を触られたことがある。冗談半分のような雰囲気だったし笑い話にしても良いようなことではあるが、不快な出来事として今も記憶に残っている。
この程度のことは、よくあることなのかもしれない。でも、だからこそ性別や程度を問わず、性被害を公表することを殊更に特別視する必要はない。
喜多川擴氏から性加害を受けた元ジャニーズJr.の人々が、すぐ声をあげるかは分からない。だが、ジャニーズ事務所の権力は全盛期に比べると明らかに低下しており、今後もその傾向は続くだろう。主力タレントの離脱が続いており、事務所の抱える問題について語ることは、以前ほどタブーではなくなったように見える。
アイドルは、夢を売る仕事と言われている。少年たちへの性加害を繰り返していた喜多川擴氏は、数多くのアイドルを生み出し、人々を夢見心地にさせる天才だったに違いない。彼の生み出した夢には、人々に希望と勇気を与える美しい夢と、卑劣でおぞましい悪夢の二つがあった。
私が小学生の時に初めて聞いたジャニーズの曲に、こんな一節があった。
夢は止まらない 何処までも――。いや、そろそろ目覚めなくてはいけないだろう。
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