最新記事
シリーズ日本再発見

コロナだけじゃない、「二重苦」と戦う日本の飲食業界

2020年05月15日(金)16時18分
高野智宏

japan20200515covid19-restaurants-3.png

■喫煙専用室
大きなチェーン店などに設置されている喫煙室。その室内では紙巻きたばこ、加熱式たばこ両方の喫煙が可能だが、飲食をはじめとするサービスの提供は不可能となる。

■加熱式たばこ専用喫煙室
その名のとおり、加熱式たばこのみ喫煙が許され、飲食のサービスも提供できるタイプ。加熱式たばこのユーザーが増えてきた近年、カフェなどがこのスタイルを導入するようになっている。

■喫煙目的室
ここからが難題。まずこの「喫煙目的室」は、シガーバーや煙草販売店など喫煙をサービスの「目的」とする施設に関しては、喫煙や飲食の提供を許可するというもので、スナックやバーもこのカテゴリーへ申請する店舗が多いという。なお、このカテゴリーの場合、米飯類などの主食は主として提供することはできない。

■喫煙可能室
こちらの「喫煙可能室」では、これまで喫煙できた一般的な居酒屋などと同様、喫煙が許され飲食もできる。となれば、これまで喫煙可能だった店舗がこのカテゴリーになるのかと思いきや、それでは改定健康増進法を施行した意味がないのだろう。これに該当する店舗には厳しい条件が課されている。

その条件とは、「資本金が5000万円以下」の店舗で、かつ「店舗面積が100平方メートル以下である」というもの。つまり、法施行により事業の継続が危ぶまれる小規模店を対象とした経過措置であり、大規模店舗には適用されない(その上、東京都の「従業員を使用していないこと」のように、条例でさらに厳しい条件を課している自治体もある)。

「コロナ騒動さえなければ......」

前述した三光マーケティングフーズが経営する各店舗も、その多くが以前は喫煙可能な店舗だった。法改正にどのように対応したかを聞くと、「大半の店舗に喫煙(専用)室を設置した」という。しかし、なかには「喫煙目的室」(喫煙目的施設とも呼ばれる)に申請した店舗もあった。

ソウルダイニングバー「鶴千 歌舞伎町店」(5月6日現在、休業中)もその1つだ。「(この店舗では)以前より、お客様の7〜8割が喫煙されるお客様であること。そして、バー業態でありながら喫煙ができないのは、お客様の感覚に合わないと考えたためです」と、広報担当の西川氏はその理由を説明する。確かにバーには酒とたばこを楽しみに来る客が多いし、完全禁煙となっては大幅な客足の減少が予想されるのだろう。

また、業態としてはカフェであるセガフレード・ザネッティ新宿南口店も、改正健康増進法の施行後に「喫煙目的室(施設)」となった店舗だ。以前は禁煙席を4席設ける分煙スタイルの店舗だったが、現在は全席が喫煙可能である。

japan20200515covid19-restaurants-2.jpg

店舗入り口や購入カウンターで「全席喫煙」を案内するセガフレード・ザネッティ新宿南口店 Photo: 高野智宏

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

エヌビディア決算に注目、AI業界の試金石に=今週の

ビジネス

FRB、9月利下げ判断にさらなるデータ必要=セント

ワールド

米、シカゴへ州兵数千人9月動員も 国防総省が計画策

ワールド

ロシア・クルスク原発で一時火災、ウクライナ無人機攻
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋肉は「神経の従者」だった
  • 3
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく 砂漠化する地域も 
  • 4
    一体なぜ? 66年前に死んだ「兄の遺体」が南極大陸で…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    『ジョン・ウィック』はただのアクション映画ではな…
  • 7
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 8
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 9
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 10
    【独占】高橋一生が「台湾有事」題材のドラマ『零日…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 6
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 7
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 8
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 9
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子…
  • 10
    3本足の「親友」を優しく見守る姿が泣ける!ラブラ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中