「子供が躁鬱(そううつ)病になるという証拠はゼロだと思う」。アメリカの現役小児精神科医による記事は衝撃でした。今週発売のニューズウィーク日本版でご紹介する『ママ、僕は本当に躁鬱病なの?』という記事です。

 アメリカでは子供の双極性障害(躁鬱病)は子供全体の1~4%に見られる重い疾患だとされていて、この診断を下される患者が今、急増しているそうです。ところがこの記事の著者をはじめ、子供の躁鬱病はありえないと主張している医師も多い。診断の基準があまりに不完全だからです。例えば、子供の躁鬱病の「症状」だとしてまかり通っているものが、「大げさな感情表現をする」「怒りっぽい」など。これらは子供の成長過程ではごく当たり前に見られる傾向だったり、注意欠陥多動性障害(ADHD)など他の疾患の症状だったりするものばかりだそうです。

 そんな症状で簡単に躁鬱病と決め付けられるなんて......。何より怖かったのは、小児精神科の世界では「診断にも流行がある」、との著者の言葉。子供の躁鬱病は90年代後半から急激にブームになったのですが、子供の双極性障害に関するたった1冊の本が世間の話題をさらったことがきっかけだったというのです。

 ブームに乗った誤った診断で大人の躁鬱病の薬を処方され、症状を悪化させたり危険な副作用に苦しむ子供もいるとのこと。アメリカの医学界への見方が変わってしまうような、考えさせられる記事です。

 そのほか、「中国はもしや北朝鮮以上の収容所国家かも?」「ダイアナが今50歳の女性として生きていたら?」など、読み応えある記事が満載のニューズウィーク日本版今週号は、明日(6月29日)発売です。お見逃しなく。

――編集部・高木由美子

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