コラム

日経の「高市政権の消費税減税はポピュリズム」批判は的外れ

2026年01月27日(火)06時30分

オールドメディアが無理のある主張をしているように見える

日経の社説では、消費税を減税すべきでない理由として、①税収が年5兆円も減少(財政規律が緩む)、②社会保障の安定財源である、を挙げている。

ただ、コロナ禍前の2019年から2024年までに税収は20兆円以上増えており、インフレで徴税が行き過ぎた一部を家計に戻す対応を行うだけである。また、家計の実質所得が増えて経済状況が完全に正常化すれば、税率を再び引き上げることは可能である。

そして、「消費税は社会保障の安定財源」という説明は増税の政治的な方便として使われてきただけである。社会保障の長期的な安定は、行き過ぎた徴税を是正することで経済成長率を高めて、税収や保険料収入を持続的に増やすことでしか実現しない。

日本の労働市場はいわゆる完全雇用には依然達していないと筆者は判断しており、家計所得を増やす財政政策は総需要を刺激して日本の経済成長率を高めるだろう。

筆者の立場からすると、「減税はポピュリズム」との主張は的外れでしかない。税金に依存する公的部門が重要な取材先となっており、特権的な軽減税率の恩恵を受けるオールドメディアが、その権益を守るために無理のある主張をしているようにしか見えない。

日本経済や財政を適切に把握していない日経などの主張は、いわゆる逆指標になる貴重な投資判断の材料だと筆者は位置付けている。

実際には、高市政権が総選挙で勝利して減税が実現した場合、株高が続き日本経済の成長が高まり、長期的には日本の財政状況はより健全になるだろう。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)


■関連記事
高市新総裁の「高い経済理解」と高市政権で起こる経済政策の大転換
【高市政権の成長戦略】半導体支援は「必要なギャンブル」/経済成長、経済安保、安全保障...「一気に解決」が高市流


ニューズウィーク日本版 教養としてのミュージカル入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月17号(3月10日発売)は「教養としてのミュージカル入門」特集。社会と時代を鮮烈に描き出すポリティカルな作品の魅力[PLUS]山崎育三郎ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

必要ならホルムズ海峡で護衛、1週間でイランに打撃 

ビジネス

ユーロ圏鉱工業生産、1月は前月比・前年比とも予想外

ワールド

トルコ船舶がホルムズ海峡通航、15隻のうちの1隻に

ビジネス

中国の2月新規融資、予想以上に前月から急減 需要低
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車整備は収入増、公認会計士・税理士は収入減
  • 3
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 4
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 5
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 6
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 7
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 8
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 9
    2万歩でも疲れない? ディズニー・ユニバで足が痛く…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 10
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story