コラム

日経の「高市政権の消費税減税はポピュリズム」批判は的外れ

2026年01月27日(火)06時30分

実際には、日本の財政収支は2022年以降大きく改善している

減税を伴わなければ高市政権の「責任ある積極財政」が成功しない、と筆者はやや懸念していたのだが、維新との連立与党となったことで高市首相が「自らの悲願」を実現できる状況になったと考えられる。

高市政権の経済政策に対する有権者の期待は相応に高い一方で、経済メディアでは消費減税政策への批判的な論調が多い。

例えば、1月20日の日経の社説「[社説]消費税減税ポピュリズムに未来は託せぬ」が代表例である。日本の財政政策を「行き過ぎた緊縮」と形容する高市早苗首相の会見を批判、減税政策がポピュリズムであると断じている。

実際には、日本の財政収支は2022年以降大きく改善しており、日本銀行の統計によれば2025年7-9月時点で一般政府の財政赤字はGDPで-0.2%まで減少している。

米国ではGDP対比で-5%以上の財政赤字が恒常化、さらに政策転換を行ったドイツが防衛費拡大で財政赤字を拡大させている中で、日本の財政収支は先進諸国の中でほぼ唯一中立に近い水準である。

財政収支の黒字化が近づいていることは、日本の財政政策が諸外国対比で緊縮的であることを意味する。

2022年以降インフレ率が3%程度で推移する中で、インフレタックスが効きすぎて、財政収支の急速な「改善」が起きた。そして、政府の所得(税収)と企業利益だけがインフレ率を超えて伸びた一方で、家計の実質所得が全く増えない不均衡(所得分配の失敗)が続いてきた。

この不均衡を是正して、日本経済を持続的に成長させるには、家計所得を増やす財政政策が必要になる。岸田、石破政権の政治リーダーは財政政策を経済官僚に依存しており、マクロ安定化政策として十分な政策が実現しなかったのである。

プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

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