コラム

結局、TACOだったトランプ米大統領...関税交渉で最悪の事態回避も、日本経済の厳しい夏は続く

2025年08月02日(土)11時05分

蓋然性が高いメインシナリオは高市総裁+国民民主党との政策協力

石破政権は続投の意向を示しているが、近いうちに自らの議席確保に危機感を抱く自民党議員から見放される、と引き続き予想している。そして、石破政権への失望で自民党から離れた有権者を引き寄せるために、安倍晋三元首相の後継者と目される高市早苗氏が次期総裁の有力候補になるだろう。

高市総裁となれば、減税政策を一貫して主張している国民民主党との政策協力で、予算が可決する可能性が高まる。そうなれば、日本の緊縮的な財政政策運営が拡張方向に転じるゲームチェンジャーになる。期待を込めて筆者はこれを蓋然性が高いメインシナリオと想定している。

もちろん、次の自民党総裁の有力候補としてはほかに、現閣僚である小泉進次郎氏、林芳正氏なども挙げられるが、この場合は石破政権が続投するケースと経済政策は変わらないだろう。

このシナリオでは、減税を掲げる国民民主党との政策協定は実現せずに、極めて限定的な財政政策にとどまるのではないか。この場合、円安の修正やトランプ関税の逆風に直面する日本経済の停滞は続く見通しである。

2025年の猛暑が続く夏に、日本経済は重要な転機を迎えている。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)

プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

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