ドキュメンタリー映画『非常戒厳前夜』が尹錫悦大統領の戒厳令の深相に迫る
徹底して権力を監視する「ニュース打破」は、尹が検察総長候補に指名された19年から彼の疑惑を追及してきたため、大統領となった尹から弾圧の標的とされ、フェイクニュースを流したとの容疑で本部と記者2人の自宅に家宅捜索が行われた。
しかし記者たちは屈しない。忖度しない。諦めない。不当な捜査をカメラに記録し続け、調査報道と法廷闘争で尹政権を追い詰めていく。
その帰結として、あの唐突な非常戒厳の宣布があったのだ。
特に安倍政権時代、政権から圧力や介入を受け続けた日本の大手メディアは権力監視機能を自ら放棄し、民主党政権時代には11位だった報道の自由度ランキングは下落し続けて、今年は66位。G7においては最下位だ。
「表現の自由」に関する実態調査で16年に来日した国連特別報告者のデービッド・ケイは、国家権力による検閲がないにもかかわらず、日本のメディアが権力監視を果たしていないことを厳しく指摘している。
『非常戒厳前夜』は与野党含めて多くの政治家、家宅捜索中の検察官、権力に追従するテレビ局幹部を全て至近距離で捉えて、モザイクはかけていない。国会の廊下を歩く尹にもカメラを構えて突撃する。
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