コラム

日本軍の捕虜虐待を描きながら「反日映画」にされなかった『太陽の帝国』の不思議

2025年09月06日(土)18時50分

今回改めて見直して、編集が変なのだと気付いた。余分なカットがいくつかの重要なシーンの解釈を妨げている。だから弛緩する。

主人公のイギリス人少年(今回気付いたけれどクリスチャン・ベールだ)や周囲の人たちに感情移入できない。ところが編集はスピルバーグのヒット作を数多く編集しているマイケル・カーン。不思議だ。狙いが分からない。

それはともかく、本作は日本兵をステレオタイプには描いていない。良き日本兵もいれば悪しき日本兵もいる。そこはやっぱりスピルバーグだ。戦後80年に公開される中国の3本の映画もそうあってほしい。


newsweekjp_20250829104954.png太陽の帝国』(1987年)
©1987 Warner Bros./Amblin Entertainment. All rights reserved.
監督/スティーブン・スピルバーグ
出演/クリスチャン・ベール、ジョン・マルコビッチ

<本誌2025年9月9日号掲載>

プロフィール

森達也

映画監督、作家。明治大学特任教授。主な作品にオウム真理教信者のドキュメンタリー映画『A』や『FAKE』『i−新聞記者ドキュメント−』がある。著書も『A3』『死刑』など多数。

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