遊郭でほぼ完結する『幕末太陽傳』は今も邦画のベスト10に入る
ただし川島が当初考えていたラストは、生きてやると叫んで墓場を走り去る佐平次が、時間を超えて1957年の品川を走るシーンだった。つまりオープニングへの回帰。でもそのプランは難解過ぎると周囲から説得されて断念したという。ただし欠落は想像力をかき立てる。57年の品川に限定されていないからこそ、今この映画を観る僕たちには、21世紀の世界を疾走する佐平次を思い浮かべることができる。一人一人の命は短い。でも歴史は消えない。こうして人の営みは繰り返される。
ちなみにフランキー堺は川島没後もずっと、江戸期から現在に佐平次が駆け抜けるシーンに現場で反対したことを強く悔いていたという。
『幕末太陽傳』(1957年)
監督/川島雄三
出演/フランキー堺、左幸子、南田洋子、石原裕次郎
<本誌2021年10月5日号掲載>
『ある日、家族が死刑囚になって』を考えるヒントにして 2026.03.11
脚本・監督も主演2人も素晴らしい......僕の大切な『オアシス』は奇跡を見せてくれる 2026.02.11
大評判作『ワン・バトル・アフター・アナザー』が感じさせるアメリカの「反復力」 2026.01.29
『私は確信する』が教える「確信」することの危うさ 2025.12.24






