コラム

今、あらためて考える草間彌生という存在──永遠の闘い、愛、生きること(1)

2022年07月07日(木)10時35分

さらに、彼女はクサマ・ドレスやテキスタイルも手掛け、それらは全米のデパートやブティックで販売され、1969年には自身のブティックも開店。1968年には自作自演の映画も制作するなど旺盛な活動を展開したが、ハプニングでは警察を呼ばれたり、メディアにゴシップ的に扱われ、バッシングを受けることになる。

その後、親しくしていたジョゼフ・コーネルが亡くなり、草間は1973年に体調を崩し日本に帰国。彼女は、1977年以降病室で暮らしながらも制作を続けることになる。

この時期の作品は死が色濃く影響していたり、抒情的であったり内省的な方向がしばしば指摘されているが、体調不良などの理由で大型の作品が作れなかったことは、自身の作品イメージを量産することができるセラミックスやパステル、コラージュ、シルク・スクリーンの制作や、1978年の『マンハッタン自殺未遂常習犯』に代表される小説や詩など、新しいメディアに取り組むことに繋がる。

また、1980年初頭よりフジテレビギャラリーなどで作品を発表するようになるが、文学作品などで評価を得たものの、美術館からはほとんど注目されず、アートシーンの表舞台からは忘れ去られていたという。

そうした草間の再評価のきっかけとされるのが、1989年、ニューヨークに設立された国際現代芸術センターでの大規模な回顧展である。

草間彌生の水玉と「私」の呪縛からの解放──永遠の闘い、愛、生きること(2) に続く。


※この記事は「ベネッセアートサイト直島」からの転載です。

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プロフィール

三木あき子

キュレーター、ベネッセアートサイト直島インターナショナルアーティスティックディレクター。パリのパレ・ド・トーキョーのチーフ/シニア・キュレーターやヨコハマトリエンナーレのコ・ディレクターなどを歴任。90年代より、ロンドンのバービカンアートギャラリー、台北市立美術館、ソウル国立現代美術館、森美術館、横浜美術館、京都市京セラ美術館など国内外の主要美術館で、荒木経惟や村上隆、杉本博司ら日本を代表するアーティストの大規模な個展など多くの企画を手掛ける。

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