コラム

米史上で最も重大なサイバー侵害も...中国サイバー攻撃は「新時代」へ、経済スパイからどう進化?

2025年09月14日(日)19時36分
新たな脅威をもたらす新時代の中国サイバー攻撃

muhammadtoqeer/Shutterstock

<活動能力が格段に上がっている中国の国家支援型サイバー攻撃グループ「ソルト・タイフーン」「ボルト・タイフーン」。日本を含む世界の国々にもたらす脅威とは>

FBIサイバー部門のジェイソン・ビルノスキー次官補は、中国の国家支援型サイバー攻撃グループである「Salt Typhoon(ソルト・タイフーン)」と「Volt Typhoon(ボルト・タイフーン)」の攻撃が、以前よりも巧妙になっており、システム内に侵入してから気づかれないように活動をするなど能力が格段に上がっていると警告している。

これら中国のグループの脅威は今後さらに高まる可能性がある。もちろん日本も他人事ではない。ただ対策をするには、グループそのものとその脅威を正しく知る必要がある。筆者の認識では、これらグループによる中国からの攻撃を見ると、サイバー作戦は新時代を告げていると言っていい。筆者や弊社が調査している独自情報も含めて、その現実を共有したいと思う。

現在、中国のサイバー作戦は、経済スパイ活動から戦略的で政治的なキャンペーンへと進化し、西側諸国の重要インフラや世界の安全保障に重大な脅威をもたらしている。

ソルト・タイフーンは世界80カ国以上の通信ネットワークに侵入し、膨大な通信データや位置情報データに不正アクセスしてきた。通話記録やプライベートメッセージ、位置情報データなどが窃取された。一方で、ボルト・タイフーンは、エネルギー、交通、水道システムといった米国の重要インフラにマルウェアを埋め込んできた。

プロフィール

クマル・リテシュ

Kumar Ritesh イギリスのMI6(秘密情報部)で、サイバーインテリジェンスと対テロ部門の責任者として、サイバー戦の最前線で勤務。IBM研究所やコンサル会社PwCを経て、世界最大の鉱業会社BHPのサイバーセキュリティ最高責任者(CISO)を歴任。現在は、シンガポールに拠点を置くサイバーセキュリティ会社CYFIRMA(サイファーマ)の創設者兼CEOで、日本(東京都千代田区)、APAC(アジア太平洋)、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、アメリカでビジネスを展開している。公共部門と民間部門の両方で深いサイバーセキュリティの専門知識をもち、日本のサイバーセキュリティ環境の強化を目標のひとつに掲げている。
twitter.com/riteshcyber

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