コラム

トランプ、NATO離脱を「絶対的に」検討...イラン戦争は77年続く「大西洋同盟」の破局をもたらすのか

2026年04月03日(金)11時05分
トランプ

トランプはNATOに背を向けようとしている(写真は2018年撮影) Gints Ivuskans-shutterstock

<スペインやイタリアが米軍機への基地提供を拒否したことにトランプは怒り心頭だ>

[ロンドン発]ドナルド・トランプ米大統領は4月1日、北大西洋条約機構(NATO)の欧州同盟国が米国・イスラエルによるイラン戦争への協力を拒否していることを受け、「NATO離脱を疑うことなく絶対的に検討している」とロイター通信に語った。

【動画】トランプのNATO脱退示唆は歴史的な転換点になるかも

イランのホルムズ海峡封鎖で原油が高騰、インフレ再燃と世界的景気後退への懸念が膨らむ中、77年の歴史を持つ「大西洋同盟」は崩壊の瀬戸際に立たされている。スペインはイラン攻撃を「国際法違反」と断定し、米軍機による国内基地使用および領空通過を禁止した。


イタリアはシチリア島シゴネラ基地への米軍機着陸申請を拒否。米国が事前許可を取らず、イタリア政府・軍首脳との協議を経ていなかったのが理由だ。「私たちの戦争ではない」と協力を渋るスターマー英政権をトランプ氏は「海軍を持っていない」「時代遅れの空母」と罵倒する。

「欧州が今後、米国の防衛保証を信じられるか疑わしい」

マルコ・ルビオ米国務長官も「NATOは一方通行」と批判。米国が必要な時に基地使用すら認めない同盟が米国の国益に資するかを再検討すべきだと主張する。米国防権限法はNATO離脱には米上院の3分の2以上の承認を義務付けており、大統領の独断による離脱は法的には困難だ。

イヴォ・ダールダー元米NATO大使は「NATO史上最大の危機。軍事同盟の根幹は信頼で、欧州諸国が今後、米国の防衛保証を信じられるか疑わしい。駐留米軍の引き揚げや指揮系統からの離脱など同盟を形骸化させる手段はある」と警告する。

英国やフランスは"トランプ後"の世界を見据えた独自の安全保障枠組みの構築に舵を切る。ウクライナ支援打ち切りやデンマーク自治領グリーンランドの領有権問題に続く事前調整なしのイラン戦争は、米国に依存しない「戦略的自律」への強制移行を欧州に迫る。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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