コラム

G20サミットで「米欧vs中露」の対立鮮明...議長国インドはしたたかに立ち回り、首脳宣言は見送りか

2023年09月09日(土)17時47分

インドを常任理事国とする国連安保理改革を支持

バイデン氏はインドを常任理事国とする国連安全保障理事会改革を支持し、防衛、原子力、宇宙開発、グローバル半導体サプライチェーンの構築、送受信装置などの仕様をオープンにしてさまざまなベンダーの機器やシステムとの相互接続を可能にするOpen RANと移動通信システム5G/6G技術の研究開発、量子技術、バイオなど多岐にわたる協力を約束した。

インドは米国から31機の無人攻撃機MQ-9Bプレデターの調達を進める。米国と中国を天秤にかけるモディ氏のしたたかさが浮かび上がる。インドは長い間、非同盟外交政策を維持しており、モスクワとの外交関係はソ連時代にさかのぼる。西側がロシア産原油・天然ガスから撤退する一方で、インドは原油の輸入を増やす。

減ったとは言え、インドにとってロシアは軍事・防衛機器の最大の供給国だ。だからロシアのウクライナ侵攻を非難する国連決議を棄権した。英国のリシ・スナク首相はインド系の英首相として初めてニューデリーを訪問。ウクライナが黒海経由で穀物を安全に輸出できるようにする協定から離脱したプーチンの決定を非難するようG20首脳に呼びかける方針だ。

英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)のレスリー・ビンジャムリ米国プログラム・ディレクターは「英国はインドとの自由貿易協定交渉を理想とする国々の列に加わりつつある。今日のインドは抜け目なく、プライドも高い。英国が、経済も野心も英国を凌駕しているように見えるインドと取引を進めたいのであれば互いに満足のいく提案が不可欠だ」と話す。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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