コラム

オミクロン株 飲食店の屋内営業を制限しなければ最大7万5千人の死者 英大学が警告

2021年12月12日(日)20時14分

英エディンバラ大学のマーク・ウールハウス教授(感染症疫学)は「ロックダウンを実施すれば追加のワクチン接種を完了するための時間を確保することができる。しかし問題を先送りするだけで、より大きな弊害をもたらす。 自己診断の普及など感染を減らすためのより持続可能な手段が実行可能な代替手段になる可能性がある」と提言する。

再びロックダウンに追い込まれればイギリス経済は二番底を打ち、景気回復が大きく遠のくのは必至だ。休業補償で財政赤字が膨らむのも避けられない。

英イースト・アングリア大学のポール・ハンター教授(疫学・公衆衛生)は「LSHTMの論文はオミクロン株の拡散シナリオについてよく設計されている。前日に公開された英保健安全保障局の報告書と照らし合わせると、免疫回避率が高く、ブースター効果が高いという(3)が最もあり得るシナリオだ」と解説する。

「オミクロン株の変異は抗体から逃れるのに十分だが、T細胞の免疫はそれほど損なわれないと考えられている。 オミクロン株の重症度が低いのであれば、LSHTMのモデルは入院患者や死者をおそらく大幅に過大評価しており、最悲観シナリオが実現する可能性は低いだろう」との見方を示す。

11日、ロンドンにある「白衣の天使」で知られるフローレンス・ナイチンゲールゆかりのセント・トーマス病院を通りがかると、予約なしでも受けられる3回目のワクチンを接種しようと若者たちが長い行列を作っていた。重症化や死亡のリスクを激減できるブースターワクチンを接種するのが今のところ最善の自衛策だからだ。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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