コラム

英中「黄金時代」の幕開けに、習近平が「抗日」の歴史を繰り返した理由

2015年10月22日(木)10時54分

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チベット亡命者の抗議活動を圧倒する中国人留学生(20日)Photo:Masato Kimura

 今回の習主席訪英を受け、ドイツやフランスなど欧州主要国、欧州連合(EU)は一層、対中関係を強化するだろう。中国経済圏が基軸通貨の米ドルや欧州単一通貨ユーロと併存する形で拡大を続ければ、南シナ海や東シナ海での安全保障上の脅威は必然的に増す。

 米国が台頭し、日本、米国、英国、フランスの4カ国条約により日英同盟の廃止が決定された1921年を彷彿させる歴史的な転換点に日本は立たされている。日本では超党派の国会議員でつくる「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の衆・参両院の国会議員71人が20日、秋の例大祭に合わせて靖国神社を参拝した。岩城光英法相と高市早苗総務相、加藤勝信1億総活躍担当相も参拝した。習主席の「抗日」プロパガンダと、日本の閣僚、国会議員による靖国参拝は表裏一体の関係をなす。が、日本の靖国参拝組からは習主席が描く狡猾な深謀遠慮はまったく感じられない。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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