コラム

タンス預金が100兆円を突破! 「現金好き」はどんどん損する時代に

2021年03月30日(火)20時10分

一方、米政府は今回のコロナ危機に際して、国民1人当たり最大3200ドルの給付金を支給しているが、このうち約4割が株式投資に向かっているとの見方もある。

コロナ危機による影響が人によって違うのはアメリカも日本も同じであり、直接、生活が脅かされていない世帯の場合、給付金が消費に回らないことは以前から予想されていた。だが日本の場合、その多くが現預金として保有され、アメリカでは投資に回っている。

現在のインフレ懸念が本物だった場合、物価が上昇した分、現金を保有している人は損失を抱えることになる。

日本は経済成長率が高かった昭和の時代においても、現金を保有する傾向が強く、インフレの進展によって家計の貯蓄は大きな損失を被っていた。だが当時は賃金が毎年のように上がっていたので、一部の国民は損したことに気付かず、現金保有を続けてきた。

今後の日本経済において継続して賃金が上昇する可能性は低く、インフレによる家計への影響は大きくならざるを得ない。これからの人生設計において、何らかの資産運用は必須となるだろう。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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