コラム

「ぼったくりイギリス」から逃げられないカラクリ

2016年12月22日(木)15時53分

 だからかなりの貯蓄がある人なら、5~6カ所こうした口座を開き、時期をみて次から次へと金を毎月移し、各口座に自動引き落としを振り分ければいい。

 欠点は、すでにおわかりだと思うが、こうしたやり方には計画性と途方もない努力が必要になること。だから多くの人は把握しきれなかったり、単に面倒過ぎるから無理だったりする。

【参考記事】タブーだった「嘘」という言葉をばらまき始めたイギリス人

 人は時に、特典目当てで乗り換えの手間をかけるものの、たいていはそんな努力をずっと続けられないことを、企業側はよく知っている。だから彼らはお得なキャンペーンで顧客を誘い込み、次年度以降でしっかり利益を確保する。

 この手法は企業にとって「保身」の手段でもある。たとえば、100ポンドの電車運賃が高過ぎると文句を言われたら、こう言えばいい。事前予約なら28ポンドで済むんですよ、と。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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