コラム

「敵をぶった斬る」式極論の深すぎる罪

2022年07月30日(土)09時25分

「安倍政権がダメな理由」を集める人々

検査と隔離を徹底したオーストリアで勤務経験を持つ医師、斎藤若奈は「社会における感染拡大防止という観点からみると、無症状の陽性者を早期に見つけて早期隔離しても、感染拡大防止につながる効果は残念ながら実証されていない」(河北新報オンライン版)と記した。結局のところ、「検査と隔離」は、彼らが期待するほどの効果を持っていないことが明らかになっている。

しかし、こうした実情を指摘したところで、届く可能性はほとんどないだろう。彼らからすれば、新型コロナは安倍政権がダメな理由を挙げるための1つのネタにすぎないからだ。これがダメなら、別のネタを見つけてきて批判を繰り出せばいい。政治的な主張に合致するものを見つけることができればそれで十分であり、結果として現実的な問題解決に関心は払われなくなる。かくして本来なら複雑なはずの問題は単純化され、次から次にニュースは消費されていく。

1人のニュースの書き手としては悲しいが、この本を取り巻く現実は受け止めなければならない。

※この連載は今回で終わり、次回から石戸氏の新連載が始まります。

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プロフィール

石戸 諭

(いしど・さとる)
記者/ノンフィクションライター。1984年生まれ、東京都出身。立命館大学卒業後、毎日新聞などを経て2018 年に独立。本誌の特集「百田尚樹現象」で2020年の「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞」を、月刊文藝春秋掲載の「『自粛警察』の正体──小市民が弾圧者に変わるとき」で2021年のPEPジャーナリズム大賞受賞。著書に『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)、『ルポ 百田尚樹現象――愛国ポピュリズムの現在地』(小学館)、『ニュースの未来』 (光文社新書)など

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