- HOME
- コラム
- デジタル権威主義とネット世論操作
- なぜ超大国アメリカは「勝てない」のか――手段が目的…
なぜ超大国アメリカは「勝てない」のか――手段が目的を殺す病
認知戦研究が象徴する「手段が目的を殺す」構造
「目的より手段を優先する」ことの深刻な問題は、手段を優先することが目的の不達成につながることが往々に発生してしまうことだ。これは主としてサイバーの領域で発生しやすい。理由は簡単で、民主主義国のほとんどは行政機関が一義的にサイバー関係の対応を担当している。
しかし、これはおかしい。「デジタル主権」という言葉が象徴するように、サイバー領域は国家戦略の優先課題として議論され、決定される必要があるはずなのだが、ほとんどの議論は行政レベルで行われている。
デジタル主権のあり方は行政組織を大きく変革する可能性があるが、行政機関自身が自分を解体するような提案はしにくいし、仮に一つの省庁が提案しても他の省庁や政府閣僚が承知しなければ話は進まない。つまり行政がやるには無理が多い。
これに比べれば、わかりやすい対症療法で手段だけ追求する方がはるかに楽で、国民にも説明しやすく、自分の組織も安泰ということになる。いわば「手段が目的を殺す」構造が現在の民主主義国には組み込まれている。意図せず、アメリカ症候群を慢性疾患にするためのシステムができあがっている。そして、政府や行政で本質的な議論ができないということは下記の結果をもたらす。
「グローバルノースの民主主義国では目指すべき国家の姿を実装可能なレベルで共有できていないため、デジタル主権に関する議論はどうしても目先の具体的な問題に終始し、常に後手に回るモグラ叩きとなってしまう。
これに対して、中国のサイバー主権は他の計画と実装可能なレベルで連携できており、目先の問題解決のためではなく、目標達成のための具体的なアクションを行うことができる。」
アメリカとその追随国がアメリカ症候群に悩まされている間に、中国を始めとする権威主義国は公衆衛生を充実させて、そもそも病が発生しない、発生しても蔓延しない状態を作ろうとしている。
なぜ超大国アメリカは「勝てない」のか――手段が目的を殺す病 2026.04.10
オンライン詐欺は「産業」になった...GDPの半分を占める闇経済と国家への浸透 2026.03.23
ロシアが仕掛ける「影の戦争」──進化するハイブリッド脅威と日本の脆弱性 2026.02.19
世界に広がる虚無主義的暴力過激派(NVE)...ポスト・イデオロギー時代の新たな脅威 2026.01.25
顔も位置もDNAも把握される――米国で現実化する「SF級監視国家」 2026.01.03
静かに進む「デジタル植民地化」──なぜ日本はデジタル主権を語らないのか 2025.11.28
アメリカのサイバー戦略はなぜ失敗したのか──中国が築く「閉鎖ネット」と地政学的優位 2025.10.23






