コラム

なぜ超大国アメリカは「勝てない」のか――手段が目的を殺す病

2026年04月10日(金)12時08分
なぜ超大国アメリカは「勝てない」のか――手段が目的を殺す病

alexkich -shutterstock-

<トランプがアメリカをおかしくしたのではない。もともと存在していた構造的な歪みを加速させただけだ>

最近のアメリカを見て、「トランプがアメリカをおかしくしてしまった」と感じる人は多いと思う。実際、その通りなのだが、正確にはトランプは加速したのであって、アメリカはもともとおかしかった。そして、そのおかしさが臨界点に達するまでの時間を短縮したのがトランプだ。

日本はアメリカを通して世界を認識していることが多いので、そのおかしさに気づきにくいが、よくよく考えればおかしなことはたくさんある。


たとえば認知戦(デジタル影響工作やFIMIなどもろもろを含む)の調査研究に世界でもっとも資金と人材をつぎ込んできて、その主戦場の主要なSNSを寡占していたアメリカは、なぜか世界に先駆けて陰謀論大国になってしまった。

今や、口を開けば偽情報、誤情報、陰謀論が飛び出す大統領が国を率いており、政府の主要ポストにも類似の思考回路の人々が配置されている。普通に考えれば、調査研究を一番よくやったのだから、いち早く有効な対策を打てるはずだが、そうはなっていなかった。

むしろ逆で劣化が加速した。同じことが軍事でもサイバー戦でも起きている。

きわめて個人的な見解で恐縮だが、アメリカのおかしな点は、「目的より手段を優先する」ことにあると考えている。

プロフィール

一田和樹

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表している。『原発サイバートラップ』(集英社)『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)『ネット世論操作とデジタル影響工作』(共著、原書房)など著作多数。X(旧ツイッター)。明治大学サイバーセキュリティ研究所客員研究員。新領域安全保障研究所。

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