ニュース速報
ワールド

アングル:米民主党、牙城カリフォルニア州の知事選で敗北も 選挙制度と候補乱立で

2026年03月28日(土)08時05分

写真は米国国旗とカリフォルニア州の旗越しに見えるハリウッドの看板。2025年9月、カリフォルニア州ロサンゼルスで撮影。REUTERS/Daniel Cole

Joseph Ax Costas Pitas

[24日 ロイ‌ター] - 全米で最も人口の多いカリフォルニア州は多くの‌点で、米民主党の政治的世界の中心に位置している。前回大統領選​で民主党候補だったカマラ・ハリス前副大統領はカリフォルニア州司法長官から同州選出の連邦上院議員になり、将来の大統領候補と⁠目されるギャビン・ニューサム氏は現在​カリフォルニア州知事の職にある。

しかし同州特有の選挙制度と候補者の乱立により、民主党は思いがけない、そして受け入れ難い事態に直面しつつある。3選が禁じられているニューサム氏の後任を選ぶ今秋の知事選の本選に民主党候補が進めない可能性が浮上しているのだ。

カリフォルニア州法の下では、6月2日の予備選の上位2人が、党派に関係なく11月の本選に進む。世論調⁠査によると、フォックスニュースの司会者であるスティーブ・ヒルトン氏と、リバーサイド郡のチャド・ビアンコ保安官の2人の共和党有力候補が、エリック・スウォルウェル連邦下院議員、⁠ケイティ​・ポーター元連邦下院議員、富豪のトム・ステイヤー氏の民主党候補3人と接戦を演じている。

これら5人の候補にサンノゼ市長のマット・メイハン氏(民主党)を合わせた面々は24日に南カリフォルニア大学で討論会を行う予定だった。しかし同大は23日遅く、別の4人の民主党候補(いずれも有色人種)が、「データに基づく」選考方式によって排除されたことに異議を唱えたため、討論会を中止すると発表。民主党が候補者の絞り込みに神経をとがらせている状況が浮き彫りになった。

予備選まで2カ月以上ある上、世論調⁠査では有権者の4分の1がまだ投票先を決めていないことから、どの候補者にもライバル‌に差をつける時間は十分にある。しかし、すでに民主党員の間から、11月の本選に民主党候補が進めなくなるのではな⁠いかと懸⁠念する声が出ている。

<可能性あり>

カリフォルニア州民主党委員長のラスティ・ヒックス氏は今月初め、支持率の低い候補に撤退を呼びかける公開書簡を発表し、本選で共和党の候補同士が知事の座を争うシナリオは「ありそうにない」が「あり得なくはない」と警鐘を鳴らした。民主党ストラテジストのスティーブン・マヴィリオ氏も「可能性はある。誰も抜け出せていない」と話す。

民‌主党候補のスウォルウェル氏はケーブルニュースの論客として常連だ。20年の大統領選に一時出馬し、21年のト​ランプ氏‌の2回目の弾劾裁判で検察官役(弾劾管⁠理人)を務め、全国的な知名度を得た。

同じく20年の大​統領候補だったステイヤー氏は元ヘッジファンドマネジャーで、資産を駆使して著名な民主党活動家となり、すでに選挙戦に数千万ドルを投じている。

ポーター氏は24年の連邦上院選に挑戦して敗れ、議会を去ったが、在任中は企業幹部を厳しく追及する姿勢で知られた。知名度の低いメイハン氏は穏健派と見られ、ニューサム政権をたびたび批判してきた。

カリフォルニア大学バークレー校の教授で元共和党ストラ‌テジストのダン・シュナー氏は「民主党の問題は、支持率の低い候補を排除しようとすると、『ホワイトウォッシング(有色人種を排除して白人を優先的に起用する行為)』のように見えてしまう​ことだ」と述べた。

<トランプ氏の手法に追随>

共和党候補のヒルトン氏と⁠ビアンコ氏はいずれもトランプ氏を支持しているが、犯罪や高税率といった州固有の問題に焦点を当てる姿勢も示している。

ビアンコ氏は20日、自身が保安官を務める郡で50万枚以上の投票用紙を押収したと発言し、トランプ氏が訴えてきた大規模な選挙​不正に関する根拠のない主張を思わせる動きを見せた。投票用紙の押収は、25年に実施された民主党主導の新たな選挙区割りを承認する特別選挙に不正があったとの疑惑を調査する一環だとした。

州の最高選挙責任者であるシャーリー・ウェーバー州務長官(民主党)はこの疑惑について、「信頼できる証拠がなく、選挙に対する国民の信頼を損なう恐れがある」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米トマホーク850発以上使用、イラン攻撃4週間 国

ワールド

アングル:米民主党、牙城カリフォルニア州の知事選で

ワールド

アングル:米の中東関与の隙突く中国、台湾は軍事圧力

ワールド

イエメン・フーシ派、イラン情勢巡り軍事介入の用意 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊張緩和の兆しか
  • 3
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?...「単なるホラー作品とは違う」「あの大作も顔負け」
  • 4
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 5
    ウィリアム皇太子が軍服姿で部隊訪問...「前線任務」…
  • 6
    「俺たちはただの人間だ」――BTSが新アルバム『ARIRAN…
  • 7
    日本経済にとって、円高/円安はどちらが「お得」な…
  • 8
    アメリカのストーカー対策、日本との違いを考える
  • 9
    ニュースでよく聞く「東京外国為替市場」は、実際は…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 7
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 8
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 9
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 10
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中