富裕層、湾岸諸国からスイスに資金移動図る 中東紛争で
2016年2月16日撮影。REUTERS/Ruben Sprich/Illustration/File Photo
Oliver Hirt Ariane Luthi
[チューリヒ 13日 ロイター] - 米国とイスラエルによるイラン攻撃を受け、富裕層はペルシャ湾岸地域からスイスへの資産移動を検討している。ロイターが取材した銀行関係者や金融アドバイザーら十数人が語った。
長らく安全な資産の逃避先と考えられてきたスイスは、中東やアジアの金融拠点との間で競争が激化している。それでもアラブ首長国連邦(UAE)の個人とノンバンクからスイスへのキャッシュ流入は過去3年間で約40%増えた。
コンサルティング会社デロイト・スイスのウエルスマネジメント責任者、パトリック・スピラー氏は、昨年6月の米国とイスラエルによるイラン攻撃を受け、この資金流入が勢い付いたと指摘。「最近の出来事により、当社は中東からスイスへの資産流入がますます増えると予想している。現在銀行やファミリーオフィス、富裕層の個人との話し合いが進行中だと聞いている」と述べた。
スイス銀行協会(SBA)は、最近の対イラン攻撃以降の中東からの資産流入について具体的なコメントを差し控えたが、スイスは長い間、投資家にとって魅力的な場所としての地位を確立してきたと説明した。
SBAのチーフエコノミスト、マーティン・ヘス氏は「安全な環境、安定した政治、法の支配の面で優れているという『スイスらしさ』がここにきて強みになった。現在のような情勢下では、これが特に高く評価されると思う」と語った。
イラン攻撃を受け、スイスフランはユーロに対して10年ぶりの最値に上昇した。
デロイトのスピラー氏は、資金流入には何週間、何カ月もの期間を要する公算が大きいが、スイスには中東から最終的に「数百億ドル」規模の資金が流入する可能性があると話した。
同氏は「ただ、それは戦争の展開と期間に大きく左右される」と指摘。通常はキャッシュの流入が先行し、その後に株式や債券といった資産が続くと付け加えた。
チューリヒを拠点とするプライベートバンク、ベルゴスの最高投資責任者、ティル・ブデルマン氏は、イラン攻撃によって欧州の投資家を含め、スイスが改めて注目されるようになったと説明。スイスへの資金流入量を推計するのは時期尚早だが、中東紛争は「安全な資産の逃避先としてスイスに追い風となった」との見方を示した。
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