焦点:英国、イラン紛争巡る同盟国支援に遅れ 軍備への不信募る
2025年7月日、英アバディーンでスターマー英首相と歩くトランプ米大統領。代表撮影。REUTERS
Andrew MacAskill Kate Holton Alistair Smout
[ロンドン 4日 ロイター] - 中東で激化する紛争に慎重に対応し、同盟国の防衛をためらう英国の姿勢は、米国が広範な再軍備を求めている中で、軍事的実効性を巡る疑念を再びもたらしている。
トランプ米大統領は3日、スターマー英首相を激しく非難した。トランプ氏は、米軍がイランに先制攻撃をするために英軍基地を使用することを拒否したスターマー氏が歴史的に緊密だった両国関係を「台無しにする」ことになったと述べた。
キプロス当局もまた英政府を批判している。イラン製ドローンがキプロス島にある英軍基地を攻撃した後、支援を送ったのがフランスやギリシャなど他国だったからだ。英駆逐艦は来週まで出航する見込みがなく、現地到着にはさらに1週間程度かかる見通しだ。
<長年の予算削減>
スターマー氏は自身の行動について、英軍が関与するのは合法的で十分に計画された軍事行動だけだと弁明している。英軍機はその後、イランのドローンを撃墜し、英国は同盟国の防空システムに補給を実施し、現在は英軍基地を米軍の防衛作戦のために開放している。
しかし、初期対応が遅れたために長年の予算削減による英軍の軍事的備えを巡る警戒心を引き起こした。
アフガニスタンで米軍とともに働いた元英駐在武官のサイモン・ディギンス氏は、現在の状況を要約する必要があれば「英国人は真剣でない」と言うだろうと述べた。
英国は核兵器やF35のような最新鋭の戦闘機を保有しているにもかかわらず「運用面と戦略面で」無意味な存在になってしまったと述べた。
<防衛費増額に苦慮>
英国軍の規模縮小は、米国にとって欧州で最も信頼できる軍事パートナーと見なされたい英国の取り組みを弱体化させてきた。地政学的な緊張が高まっている状況で、英国はウクライナ、北極圏、今や中東という戦域で存在感を高めることが求められている。
英陸軍の正規兵数は約7万人強と、ナポレオン戦争以来で最小規模に縮小している。
スターマー首相は2027年までに防衛費を国内総生産(GDP)に対して2.5%に、29年以降に3%に引き上げる計画だ。しかし、今後10年間の防衛投資計画の発表は遅れている。
トランプ氏はドイツやフランスが今や英国に代わって欧州で米国の最も価値あるパートナーになりつつあると述べた。
<軍備不足>
スターマー氏の慎重さは2003年のイラク戦争の記憶で一部説明できる。当時は労働党のブレア首相が米軍主導の侵攻に加わった決定を巡って英国内で激しい分断が生じた。
アナリストたちは、英国が法的懸念から基地使用に難色を示したのは正当化し得るとしても、米軍がこの地域に艦隊や戦闘機を集結させている間に軍備が不足しているのは戦略的な失敗だとみている。
そうした軍備不足は、キプロスにある英空軍アクロティリ基地に対するドローン攻撃で浮き彫りになった。
キプロス政府当局者はロイターに対し、スターマー氏が親イラン民兵組織ヒズボラによるものと考えられるドローン攻撃の直前まで米軍にアクロティリ基地を使用させないと公言しなかったことに激怒していると語った。
<トランプ氏の暴言と協力関係>
元外交官や現職の政府当局者、アナリストたちは、トランプ氏はスターマー氏を「決してウィンストン・チャーチルではない」と述べた際に明らかに怒っていたとしつつも、この発言が米英間の根本的な協力関係の変化につながると見なしていない。
第1次トランプ政権時に在ロンドン米大使館に勤務したマイケル・マーティンス氏は、両国が機密情報分野で緊密に協力しており「意味のある形で切り離される」ことはないと予想している。
ある米政府当局者もまたトランプ氏の批判を「一時的であり方針転換でない」と見ており、スターマー氏自身も、トランプ氏の今回の発言ではなく、米英間の「特別な関係」が深い協力水準に反映されていると述べた。
しかし、中東紛争の拡大により、英国に対してより多くを求めているのは米国だけでない。
クウェートに拠点を構える英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の客員研究員のベイダー・アル・サイフ氏は、欧州諸国が必要な時に湾岸の同盟国を支援できることを示す必要があると話した。「戦争に参加するべきだとは言わないが、湾岸諸国を含む地域のパートナーを支援できるはずだ」と述べた。
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