焦点:トランプ氏のミサイル防衛構想、1年経ても進展わずか
2025年5月、ホワイトハウスで「ゴールデンドーム」構想を発表するトランプ米大統領。 REUTERS/Kevin Lamarque
Mike Stone
[ワシントン 27日 ロイター] - トランプ米大統領の次世代ミサイル防衛システム「ゴールデンドーム」構想は、始動から1年が経過した現在も目に見える進展がほとんどない。技術的な論争や宇宙配備型兵器に対する懸念が足かせとなり、数十億ドルの予算執行が遅れてトランプ氏が掲げる最も野心的な国家安全保障事業の一つが停滞している。
ゴールデンドーム設立の大統領令は2025年1月27日に署名され、28年までに包括的な本土ミサイル防衛システムを配備するという強気のスケジュールを設けた。しかし1年後、政府当局者たちが宇宙配備型システムの設計の基本要素を巡って議論を続けているため、昨年夏に割り当てられた250億ドルの予算の大部分はまだ使われていない。
米政府当局者2人によると、ミサイル防衛シールドの設計を最終決定する作業が現在も進んでおり大規模な予算執行は始まっていないという。当局者たちは資金が準備できており、重要な決定が下されれば数日以内に多額の資金が放出される可能性があるだろうと述べた。
米国防総省のある当局者はロイターの質問に対し「ゴールデンドーム局は大統領令で示された目標を引き続き達成している」と回答した。
「実施計画と関連技術は流動的だが設計の基本要素は既に確立されている。詳細については機密扱いだ」
<宇宙兵器を巡る議論>
ゴールデンドームは、迎撃ミサイル、センサー、指揮統制システムのような既存の地上配備型の防衛手段を拡張する一方で、飛来する脅威を軌道上から検知・追跡し、対処するための実験的な宇宙配備型の要素を追加することを構想している。これらは高度な衛星ネットワークやいまだに議論の的となっている軌道上兵器を含むことになるだろう。
遅延の原因の一つは機密扱いの宇宙配備型装備に関する内部の議論にあると当局者の一人は語った。匿名を条件に語った防衛産業幹部は議論されているシステムについて通信規格に関わっている可能性が高いと述べた。別の防衛産業幹部はそれらが対衛星兵器である可能性があると語り、そのような兵器が防衛的なミサイルシールドとどのように整合するのか疑問を呈している。
米国は歴史的に、宇宙ゴミを巡る懸念から対衛星兵器に反対しており、中国が2007年に実施した対衛星ミサイル実験を批判したことがある。
1人目の米政府当局者と防衛産業幹部たちによると、宇宙配備型システムの設計は計画の責任者であるマイケル・ゲトライン将軍が既存兵器について想定されている一連の調達契約を進める前に、決定しなければならない課題の一つとして残っているという。
<ごくわずかな契約実績>
情報筋によると、宇宙軍は昨年11月、ミサイル防衛の試作品の製作を競わせるため、ノースロップ・グラマン、トゥルー・アノマリー、ロッキード・マーチン、アンドゥリル・インダストリーズに数件の少額契約を発注したという。これらの契約案件はそれぞれ約12万ドル規模で、トランプ大統領が最終的に1750億ドルかかるだろうと述べた計画における最初の具体的な第一歩となった。
米政府当局者によると、12月以降、防衛企業向けにシステム設計に関する機密ブリーフィングが少なくとも1回実施されたという。
米首都ワシントンに拠点を構える戦略国際問題研究所(CSIS)の武器安全保障専門家のトム・カラコ氏は、この1年の大半が安全保障審査、人員配置決定、複雑な計画の承認に費やされたと述べた。ゴールデンドーム構想が28年までに完全に完了する可能性は低いと語った。
「既に保有しているものをより良く統合するという点で今後3年間に多くのことができるが、28年以降も実施と進化が続くことは間違いない」
ゴールデンドーム構想を巡るもう一つの未解決の論点はグリーンランドが果たす可能性がある役割だ。
トランプ氏は最近、米国のデンマーク自治領グリーンランドの領有とミサイル防衛構想を関連付けており、グリーンランドの領有が構想にとって「不可欠だ」と繰り返し述べている。しかしながら、防衛問題の専門家らは米軍が既存の合意によって島内の活動拡大を既に認められていると指摘している。ある米政府当局者はグリーンランドが提案されているゴールデンドームの構造物の一部に含まれていないと語った。
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