再び3割超の公債依存、「高市財政」で暗転 25年度補正予算案を閣議決定
写真は国会議事堂。2016年7月、都内で撮影。REUTERS/Toru Hanai
Takaya Yamaguchi
[東京 28日 ロイター] - 政府は28日、歳出総額18兆3034億円とする2025年度補正予算案を決定した。税収は史上初の80兆円超えが視野に入ったが、追加歳出の多くは借金で補う。公債依存度は3割を超える見通しで、「高市財政」のもとで再び悪化する。
同日の持ち回り閣議で正式決定した。補正編成に先立つ経済対策で掲げた物価高対策などの3本柱に加え、土壇場で差し込んだ予備費も含め、対策経費は17兆7028億円とした。
事務的な補正を含めた歳出総額は18兆円超となり、当初予算と合わせた歳出総額は133兆5012億円に膨らむ。
補正予算案では、物価高対策や成長投資への歳出のほか、防衛費の積み増しにかじを切った。防衛力整備計画の対象経費や米軍再編事業などの関連経費を含む1.1兆円を計上し、対GDP(国内総生産)比2%目標を前倒しで達成する。
国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)の財務基盤強化に3700億円を投じ、対米投資を推進する施策も盛り込んだ。
併せて財政投融資計画も見直し、JBICに創設された「日本戦略投資ファシリティ」を通じ、官民連携で海外展開を支援するなどの目的で、新たに4兆4777億円を追加することを決めた。
歳入では、税収が当初想定より2兆8790億円上振れすると見込んだ。25年度税収は80兆6980億円と、6年連続で過去最高を更新する。剰余金などの税外収入3兆7284億円も、補正予算の財源に充てる。
足りない分は新規国債を追加することで補う。新たに11兆6960億円を発行し、今年度の発行予定額は40兆3431億円となる。首相の目論見通り、昨年の補正後発行額(42.1兆円)よりは抑制した。
ただ、借金頼みの構図は変わらない。強い経済実現を旗印に規模を膨らませたのと引き換えに、公債依存度は30.2%に悪化する。当初は24.8%としていた。
<利付年限債を増発>
一般会計の財源とする新規国債に加え、財政投融資の追加に伴う財投債の増発で、国債発行全体では189兆5869億円と、当初より12兆7301億円増える。増加分には市中発行の増額や、前倒し債の活用などで対応する。
カレンダーベース市中発行額は178兆7000億円とした。25年6月の見直し時からは6兆9000億円の増額となる。
市中向けでは、利付2年債と5年債をいずれも26年1月から月1000億円増発。6カ月物の割引短期国債を6兆3000億円増やす。
短期調達を重ねると次年度以降の増発要因となる。





