米政府の対中禁輸措置、拡大延期で効力喪失の恐れ＝元米政府高官

１０月３０日、 トランプ米大統領が行った中国の習近平国家主席との会談で対中禁輸措置を延期したことについて、複数の元米政府高官は今回の米政府決定で禁輸措置は効力を失うだろうとの見方を示した。写真は中国と米国の旗のイメージ。３月撮影（２０２５年　ロイター/Dado Ruvic）

Doina Chiacu　Maiya Keidan　Alexandra Alper

[３０日 ロイター] - トランプ米大統領が３０日に行った中国の習近平国家主席との会談で対中禁輸措置を延期したことについて、複数の元米政府高官は今回の米政府決定で禁輸措置は効力を失うだろうとの見方を示した。

米政府は９月２９日に、事実上の禁輸措置対象となる「エンティティーリスト」を拡大し、制裁対象企業の少なくとも５０％以上を所有する中国企業に対する米国の技術輸出を禁止。中国は強く反発した。

元政府高官によると、米政府が今回リスト拡大を１年延期したことで、制裁対象の中国企業は輸出規制の抜け道を整える猶予期間を手に入れることができるという。

トランプ第１次政権で商務省高官だったナザク・ニカフタール氏は「禁輸措置強化の一時停止により、中国企業は企業構造や持ち株構成を再編し、（規則の）再導入を回避する十分な時間を得る可能性がある」と述べた。その上で「中国企業は以前から米国の法律を回避する手段に非常に長けている」と付け加えた。

バイデン前政権下で国家安全保障会議（ＮＳＣ）の技術・国家安全保障担当部長を務めたサイーフ・カーン氏も「（規制強化の延期により）このルールの支持者が期待していた国家安全保障上の効果が大幅に損なわれる恐れがある」と懸念を示した。