米民主党系25州と首都、トランプ政権の食料購入補助停止は違法と提訴
10月28日、トランプ米政権が低所得者向け食料購入補助「フードスタンプ」(SNAP)の支給停止を表明したことは違法だとして、民主党が主導する25州と首都ワシントン(コロンビア特別区)が異議を申し立てて東部マサチューセッツ州ボストンの連邦裁判所に提訴した。写真は同日、ボストンでSNAPン継続を求めて抗議デモを行う人々(2025年 ロイター/Brian Snyder)
Nate Raymond
[ボストン 28日 ロイター] - トランプ米政権が低所得者向け食料購入補助「フードスタンプ」(SNAP)の支給停止を表明したことは違法だとして、民主党が主導する25州と首都ワシントン(コロンビア特別区)が異議を申し立てて東部マサチューセッツ州ボストンの連邦裁判所に提訴した。農務省は政府機関閉鎖による資金枯渇を受けて予備資金60億ドルの使用を回避するため、月に約80億ドルの費用がかかるSNAPを11月1日以降は支出しないことを決めた。
4100万人を超える低所得者向けのSNAPの支給が停止した場合、制度が始まってからの約60年の歴史で初めてとなる。
提訴したのはマサチューセッツ州や西部カリフォルニア州、アリゾナ州、中西部ミネソタ州など25州の司法長官と知事、コロンビア特別区のシュワブ司法長官とバウザー市長。原告側は、2008年に制定された食物栄養法ではSNAPの運営に必要な場合は予備資金を使用すべきだと明記していると主張している。
マサチューセッツ州のキャンベル司法長官は、交流サイト(SNS)の投稿で「連邦政府にはSNAP給付を続ける資金があるにもかかわらず、既に生活苦にさいなまれている全国の数百万もの家族を苦しめることを選択している」と批判した。原告の1人の東部ニューヨーク州のジェームズ司法長官は「連邦政府が法的義務のある食料購入補助をやめる選択をしたため、数百万人もの米国人が飢えに直面しようとしている」と非難した。
この訴訟は、オバマ元大統領が指名したインディラ・タルワニ判事が担当する。タルワニ氏は、11月のSNAP給付のために利用可能な予備資金を使うことを農務省に強制する一時的な差し止め命令を出すかどうかを判断するため、今月30日に公聴会を開くことを決定した。
SNAP給付は、連邦政府が定める貧困水準の130%未満の所得しかない米国人が対象となる。多くの地域では、単身世帯で月額1632ドル、2人世帯で2215ドルが基準額となっている。
政府機関閉鎖は、700万人近くが利用している女性・乳幼児・子供向け栄養補助プラグラム(WIC)も脅威にさらしている。
農務省の報道官は、上院民主党が「党内の極左派に固執するか、母親や乳幼児、最も脆弱な立場にある人々がWICとSNAPの給付を適時に受けられるようにするために政府機関を再開するか」の岐路に立たされているとコメントした。





