Ｇ２０財務相会議が閉幕、議長総括で戦争や貿易摩擦巡るリスク警告

米ワシントンで開かれた２０カ国・地域（Ｇ２０）財務相・中央銀行総裁会議は１６日、共同声明の代わりに議長総括を発表し、閉幕した。写真は南アフリカ中銀のハニャホ総裁。同日撮影（２０２５年　ロイター/Elizabeth Frantz）

［ワシントン　１６日　ロイター］ - 米ワシントンで開かれた２０カ国・地域（Ｇ２０）財務相・中央銀行総裁会議は１６日、共同声明の代わりに議長総括を発表し、閉幕した。議長総括は世界経済のレジリエンス（強靭性）に言及すると同時に、戦争や貿易摩擦のほか、供給網の混乱、債務負担、異常気象などによるリスクを警告した。

議長総括は、Ｇ２０各国の中銀による物価安定確保に向けたコミットメントを確認。物価安定の達成に重要な要素として中銀の独立性の重要性を強調した。また、競争的な通貨切り下げを控えるという２０２１年４月のコミットメントも再確認した。

議長国南アフリカの下で開かれたＧ２０財務相・中銀総裁会議は今回が４回目。南アはＧ２０を通して先進国に圧力をかけることを目指しており、今回の議長総括でも不均衡に対処する必要性が強調された。

議長総括は、高水準の公的債務と財政面の制約という課題を踏まえ、長期的な潜在的な経済成長力を高めるために成長志向のマクロ経済政策を追求することの重要性に対する認識が示されたと言及。世界経済のリスクに対処するために多国間協調の強化が必要になるとし、国際開発金融機関の貸出能力を高めるための改革のほか、意思決定の過程で途上国の発言力を拡大する必要があるとの見解が示された。

債務の透明性についても改めて言及。民間債権者を含む全ての関係者に対し、情報開示の一段の強化を呼びかけた。