スイス、11月に相続資産課税巡る国民投票 世論調査は反対派が圧倒的

スイスで11月30日に行われる相続資産課税案の是非を問う国民投票は、15日公表の世論調査に基づくと否決される公算が大きい。5月2日、チューリヒで撮影(2025年 ロイター/Denis Balibouse)
John Revill
[チューリヒ 15日 ロイター] - スイスで11月30日に行われる相続資産課税案の是非を問う国民投票は、15日公表の世論調査に基づくと否決される公算が大きい。
5000万スイスフラン(6253万ドル)を超える相続または贈与資産の保有者に50%の税率を適用するこの案は、左派の社会民主党青年部(JUSO)が発議。税収は気候変動対策などに充当する。
ただツバンツィヒ・ミヌーテンとタメディアが1万1178人の有権者に対して8─9日に実施した調査では、課税案賛成は全体の31%にとどまり、3分の2は反対だと回答した。
スイスの税務当局によると、現在5000万フラン超の資産を保有する納税者は国内で約2500人、総資産はおよそ5000億フランに上る。
資産課税が実行されれば、40億フランの税収増が見込まれる。
JUSOのミリアム・ホステットマン代表は、超富裕層が贅沢な消費によって最も気候を破壊していると主張。「スイスで最も裕福な10家族が全国民の温室効果ガス排出量の90%を占めている。一般国民がそのコストを負担するのはあり得ない」と訴えた。
一方でビジネス界などは、課税によって富裕層がスイスから逃げ出し、むしろ全般的な税収減につながると警告している。
スイス政府も有権者に否決を勧告し、ケラーズッター財務相は「この提案は富裕層にとってスイスの魅力を大幅に低下させてしまう」と発言した。