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政府・日銀の協定見直し、直ちに必要とは考えず=高市自民総裁

2025年10月09日(木)23時02分

自民党の高市早苗総裁は9日夜、NHKの番組で連立政権の枠組みについて「自公連立は基本中の基本だ」と語り、政策合意文書を早く作りたいとの考えを示した。写真は会見する高市氏。都内で9月撮影。(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Takaya Yamaguchi

[東京 9日 ロイター] - 自民党の高市早苗総裁は9日、政府・日銀が2013年に結んだ政策協定(アコード)について、直ちに見直しが必要とは考えていないと明言した。一方、持続的な経済成長に向け、政府と日銀の取り組みを整合させる必要があるとの考えも示した。

民放番組で語った。高市総裁はアコードに関し、「今の段階で、直ちに見直しが必要だと考えているわけではない」と語った。

そのうえで「日銀の対応、それと政府の経済政策をしっかり整合させていくことが必要」と言及。「日銀法4条に基づいて、政府と日銀が足並みをそろえて経済政策に取り組むことが非常に重要。コミュニケーションは非常に大事だと思っている」と述べた。

「金利をいま上げるのはアホやと思う」とした過去の発言については「金融政策の手段を決めるのは日銀だということを前置きしたうえで申し上げた」と振り返った。年内の利上げ観測に関し「私の立場で、利上げそのものについて発言すべきではないのは分かっている」とも語った。

党総裁選で自身が総裁に選出されて以降の株高、円安については「私が何か申し上げる立場にはない」と明言を避けた。一般論と断ったうえで「株を持ってらっしゃる方だけじゃなく、年金基金や大学ファンドとかいろんな運用をやっている。多くの方にメリットはある」と述べた。

為替円安に関連し、「行き過ぎた円安を誘発するつもりはない」との考えも明言した。円安には「良い面も悪い面もある」との認識を示した。

高市総裁は、不安定な国際情勢を念頭に「今のコストプッシュインフレでデフレを完全に脱却したと、安心していていい状況ではない」との認識も示し、物価高対策を急ぐ考えを強調した。

民放番組に先立つNHK番組で、物価高対策を巡っては「与野党関係なく必要と思っている」と指摘。「話し合いで協力し合える部分」と語った。

党総裁選で訴えてきたガソリン暫定税率の廃止や、年収の壁引き上げに意欲を示し、首相に就任すれば、直後に経済対策の策定を指示する考えを明らかにした。対策指示のタイミングを問われ、高市総裁は「すぐに」と応じた。

自民党の宮沢洋一税制調査会長の後任として、小野寺五典前政調会長を起用する方針も表明した。

民放番組では、純債務残高対GDP比を「緩やかに、徐々に下げていく」との考えも示し、「常に名目成長率が金利を上回るかたちをキープしていくことで経済は成長していく。大きな借金を次に残すことではない」と述べた。

<自公連立「基本中の基本」>

安定政権を目指すうえで焦点となる連立政権の枠組みについては「自公連立は基本中の基本」と強調した。26年続く連立維持へ「しっかりと努力する」と述べた。

高市総裁は、10日午後に予定される自公党首会談を念頭に「あした話をうかがう。(公明党とは)26年間、いろいろきつい時もあったが、一緒にやってきた」と言及。「どこと連立をする場合にも政策合意が必要。その合意文書が早く作れるように、一生懸命頑張っていく」とした。「(公明党の)斎藤代表から連立の解消という話はいただいていない」と述べた。

公明党が求める企業団体献金の受け皿絞り込みで折り合えるかは「あした聞いてみたい」と述べるにとどめた。「話の内容は外には言わない約束。党内でもしっかり検討はさせる」とも語った。

野党との連立協議に関しては「私からどこの党と申し上げてはいけない」と明言を避けた。

近く想定される日米首脳会談に関連し、日米同盟は「外交上も、防衛上も基軸」と語った。トランプ米大統領とは友情を深め、信頼関係を構築したいとも強調した。

ロイター
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