マクロスコープ:「減税」競う自民総裁選、フランスの二の舞回避できるか

石破茂首相(自民党総裁)の後任を選ぶ党総裁選が9月22日に告示され、5人が立候補を届け出た。2022年7月、都内で撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Takaya Yamaguchi Kentaro Sugiyama
[東京 22日 ロイター] - 石破茂首相(自民党総裁)の後任を選ぶ党総裁選が22日に告示され、5人が立候補を届け出た。最大の争点の物価高対策は、7月の参院選で党が掲げた現金給付案を修正し、野党が主張してきた減税を訴える動きが目立つ。積極財政に傾く中、9月に格下げされたフランスのような事態にならないか懸念する声も政府内から聞かれる。
<手取り増へ減税訴え>
「若者や働く世代を応援するために、まずは期限を区切った定率減税を実行する」。告示に先立つ16日、小林鷹之元経済安全保障相はこう訴えた。
定率減税とは別に、「分厚い中間層をしっかり支えていけるような新しい所得税制、所得税のあり方に挑戦していく」と表明。今後1年程度で結論を得ると語った。
一方、高市早苗前経済安保相は、一部の野党が主張する減税と現金給付を組み合わせた「給付付き税額控除」を掲げた。19日の出馬会見では財政健全化の重要性を強調しつつ、「世界の潮流は行き過ぎた緊縮財政ではなく、社会の課題解決に向けて官民が連携して投資を拡大する責任ある積極財政へ移行している」と語った。
給与収入に応じ手取りが増えるような制度設計を進めるという。高市前経済安保相は「数年かかるが、とても大切な取り組み」と強調した。
林芳正官房長官は「日本版ユニバーサルクレジット」を創設すると表明した。実質賃金1%上昇の定着を掲げ、欧州で先行する仕組みを参考に、きめ細やかな支援に打って出たい考え。政府内には「給付付き税額控除の一種」(関係者)との見方がある。
<現金給付からは距離>
各総裁候補が掲げた政策は、現金給付案から距離を置くスタンスでは似通う。
現金給付案を巡り、小泉進次郎農相は20日の記者会見で「現実的には難しい」と指摘。物価や賃金の上昇に連動させ、所得税の基礎控除を引き上げる案を公約した。「私の役割はデフレ時代の経済運営の常識の壁を打ち破り、インフレ時代の新たな経済運営を構築することだ」と抱負を語った。
前党幹事長の茂木敏充氏は、2年以内に物価高を上回る賃上げを定着させるとし、数兆円規模の「生活支援特別地方交付金」を創設する考えを示した。
各候補とも野党との連携を意識した政策を散りばめており、「野党と協調しようということ自体は、政治の安定を取り戻すうえで評価できる」(ニッセイ基礎研究所の上野剛志主席エコノミスト)との声が出ている。
<ばら撒き懸念の声も>
とはいえ、減税策などの財源をどうするかは煮詰まっていない。経済成長に伴う税収増への期待感が強いが、27年度までの5年間で43兆円に引き上げる防衛費の財源も固まっていない。
さらに政策そのものを疑問視する声もある。給付付き税額控除は2019年に消費税率を10%に引き上げるのに先立ち、政府内で検討されたが、軽減税率の導入に収まった。
少数与党下で政権運営が不安定な中、「(税控除は)新しいばら撒きの手段として利用される危険性が非常に大きい」(第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミスト)との懸念が背景にある
格付け大手フィッチ・レーティングスは12日、ここ2年弱の間に首相が相次ぎ交代したフランス国債の格付けを「AAマイナス」から「Aプラス」に引き下げた。フィッチは「この不安定さは政治システムが実質的な財政再建を実現する能力を弱める」とした。
減税一色の野党に迎合するあまり、「フランスの二の舞になるような事態は避けたい」(前出の別の政府関係者)との声も漏れる。
*各候補者の公約はをご覧ください。
(山口貴也、杉山健太郎 編集:久保信博)
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