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米英首脳、両国間の投資拡大を歓迎 「特別な関係」の深化強調

2025年09月19日(金)03時04分

英国を国賓訪問中のトランプ米大統領は18日、スターマー英首相とロンドン郊外にある首相の公式別荘「チェッカーズ」で会談した。(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)

Steve Holland Andrew MacAskill Elizabeth Piper

[チェッカーズ(英国) 18日 ロイター] - 英国を国賓訪問中のトランプ米大統領は18日、スターマー英首相とロンドン郊外にある首相の公式別荘「チェッカーズ」で会談した。両国の「特別な関係」の復活を強調し、米大統領の前例のない2度目の国賓訪問を、不協和音を回避し結束を示す形で締めくくった。

和気あいあいとした共同記者会見で、トランプ大統領はリラックスした様子だった一方、スターマー首相は意見の相違を避けることに集中していた。ガザ問題や風力発電を巡る相違点をひとまず棚上げし、性的虐待罪で起訴された後に自殺した富豪のジェフリー・エプスタイン元被告などの話題にも触れなかった。

スターマー首相は会見で「われわれは新時代に向けて特別な関係を新たにした。今日のこの提携は、両国が共に競争に勝ち、雇用、成長、そして人々に所得増をもたらすという決意の表れだ」と表明。

トランプ大統領も、両国が享受している緊密な関係に敬意を表し、英国は依然として米国の鉄鋼関税の引き下げを実現できていないものの、スターマー氏は米国との最初の関税協定締結においてタフな交渉者だったと述べた。

「われわれは永遠の友人であり、これからもずっと友人であり続けるだろう」とした。

両首脳は、米国から英国への投資としては最大規模となる1500億ポンド(2050億ドル)の投資を含めた総額2500億ポンドの投資パッケージの発表を歓迎した。スターマー氏は、米英の「特別な関係にとって素晴らしい日だ」と述べた。トランプ氏も「われわれの絆は揺るぎないものだ」と強調した。

18日のビジネスレセプションの冒頭で、テクノロジーやエネルギーなど米英の業界大手によるさまざまな投資が両国の関係強化に貢献したことが紹介された。スターマー氏は、米半導体大手エヌビディアNVDA.Oや英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)GSK.Lのトップなど業界のリーダーに謝意を示した上で「生活を向上させ、今後何年にもわたる特別な関係を輝かせるような投資や雇用、取引をもたらす」と言及した。

トランプ氏も「両国の絆はかけがえない」と賛同し、「両国にとって経済的に素晴らしい成果となった」と述べた。

スターマー氏は、米国からの投資を金融サービスやIT技術、エネルギー分野と連携させることで、インフラ整備や経済成長につながると主張している。

一方、両首脳の意見が最も食い違っていたのは外交問題だ。スターマー氏や他の欧州各国首脳は、トランプ大統領に対し、ウクライナ戦争終結に向けロシアのプーチン大統領に圧力をかけるよう迫ってきた。トランプ大統領はプーチン大統領を批判しながらも、ロシアに対するさらなる制裁については言及しなかった。

この日の会見では「プーチン大統領に失望した」と語った。

トランプ氏はまた、パレスチナを承認する国々に反対するという立場を再度表明。会見では「その点ではスターマー首相と意見の相違があるが、実のところ、数少ない意見の相違の一つだ」と述べた。

トランプ氏は英国訪問初日の17日にロンドン郊外のウィンザー城でチャールズ国王が主催した晩さん会に出席した。

ロイター
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