アングル:習主席、SCO首脳会議で結束演出へ トランプ氏けん制

8月26日、中国・天津市で31日と9月1日に上海協力機構(SCO)首脳会議が開催される。写真は右から習近平・中国国家主席、ロシアのプーチン大統領、インドのモディ首相。2024年10月、ロシアのカザンで開催された新興5カ国(BRICs)首脳会議の本会議で代表撮影(2025年 ロイター)
Laurie Chen
[北京 26日 ロイター] - 中国・天津市で31日と9月1日に上海協力機構(SCO)首脳会議が開催される。ロシア、中央アジア、中東、南アジア、東南アジアから20数カ国の首脳が集まり、習近平・中国国家主席がトランプ米政権に対して「グローバルサウス」の結束を演出する機会となりそうだ。制裁に苦しむロシアのプーチン大統領にとっては、外交的勝利を収めるための助け船となる可能性がある。
調査機関「中国・グローバルサウス・プロジェクト」の編集長エリック・オランダー氏は「習氏はこの首脳会議を、米国主導が終わった後の世界において、国際秩序がどのような姿を示し始めているかを見せつける機会として活用したいと考えている。そして、ホワイトハウスが1月以降、中国やイラン、ロシア、そして現在はインドに対抗するために講じてきたあらゆる努力が意図した効果を上げていないこともだ」と語った。
オランダー氏は「BRICSがドナルド・トランプ(米大統領)をどれだけ揺さぶっているか見れば分かる。それこそがBRICSの意図だ」と続けた。
中国とインドは2020年の国境紛争をきっかけに高まった緊張が最近緩和しつつあり、首脳会議はインドのモディ首相が7年強ぶりに中国を訪問する機会となる。トランプ政権が最近、インドに対して関税圧力を強めたことで、習氏とモディ氏の会談は友好的なものになるとの期待が高まっている。
インドは6月、SCOがイスラエルによるイラン攻撃を非難した際に名を連ねるのを拒むなど、SCOの間で確執もある。
しかしオランダー氏は「(インドは)プライドをぐっと抑え、中国との緊張緩和の勢いを維持するため、今年のSCOにおける問題を過去のものとする可能性が高い。それが現時点でモディ首相の最優先課題だ」と述べた。
インドのロシア大使館高官らは先週、ロシア、中国、インドの3首脳による会談を期待していると述べた。
アナリストによると、SCOはここ数年、経済や安全保障の協力面で大した成果を収めていない。それより中国が重視しているのは、不安定な政策決定と地政学的な変動に見舞われる米国とは対称的な、グローバルサウス結束のイメージを示すことだ。
バンガロールのシンクタンク「タクシャシラ研究所」のインド太平洋研究プログラム委員長マノジ・ケワルラマニ氏は「SCOのビジョンとその実践はかなり曖昧だ。SCOは結束力を増すプラットフォームであり、物語の投影に役立つ」と説明。「しかしSCOが安全保障問題に対処する上での有効性は依然として非常に限定的だ」と話した。
ただ、首脳会議で中身のある政策発表が行われないとしても、グローバルサウス諸国に対するアピール効果を軽視すべきではないと専門家は言う。
オランダー氏は「この首脳会議はイメージ戦略、非常に強力なイメージ戦略だ」と述べた。