ニュース速報
ワールド

トランプ氏、和平で進展なければ対ロ制裁と警告 アラスカ会談から1週間

2025年08月23日(土)06時26分

トランプ米大統領は22日、ウクライナ和平に向けた進展がなければ2週間以内にロシアに制裁を科すと警告し、米アラスカ州で行ったロシアのプーチン大統領との会談から1週間が経過しても具体的な動きが見られないことにいら立ちを募らせた。米アラスカ州アンカレッジで15日撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)

[ワシントン/キーウ/モスクワ 22日 ロイター] - トランプ米大統領は22日、ウクライナ和平に向けた進展がなければ2週間以内にロシアに制裁を科すと警告し、米アラスカ州で行ったロシアのプーチン大統領との会談から1週間が経過しても具体的な動きが見られないことにいら立ちを募らせた。 ウクライナのゼレンスキー大統領が和平実現に向けた圧力強化を改めて呼びかける中、プーチン大統領はトランプ氏の指導力を称賛する発言を行うなど、3者協議の実現を含む和平への道筋はまだ見えていない。

トランプ氏は、ウクライナの和平に向けた努力のいかなる側面にも「満足していない」と表明。ロシアによるウクライナ侵攻を終わらせる取り組みが進展するかどうかは2週間以内に分かるとし、対ロシア制裁を科す可能性を改めて示唆。「われわれが何をするかについて近く決定を下す。極めて重要な決定になる。大規模な制裁に踏み切るか、大規模な関税を課すか、あるいはその両方になるか。何もせずに『それはあなた方の問題だ』と言うかもしれない」と述べた。

こうした中、プーチン大統領はトランプ氏の指導力がロシアと米国の関係修復に寄与すると確信していると発言。米アラスカ州で15日に行ったトランプ氏との会談で「極めて有意義で率直な話し合いができた」とし、「トランプ大統領の就任により、トンネルの先に光が差し始めた」と述べた。

この日は北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長がウクライナの首都キーウを訪問。ゼレンスキー大統領はルッテ氏との共同記者会見で、ウクライナに対する「安全の保証」について協議したと述べ、こうした保証はNATO加盟国の集団防衛を定めた北大西洋条約第5条に類似したものでなくてはならないとの考えを表明。和平実現に向けプーチン氏との会談をこれまでも繰り返し要請しているとし、「ロシアは会談が実現しないようあらゆる手段を尽くしている。ロシアとは異なり、ウクライナは首脳会談を恐れていない」と語り、ロシアが和平実現に関心を示さなければ新たな制裁を導入するよう同盟国に呼びかけた。

ルッテ氏は、NATO加盟国はウクライナと協力し、ロシア再びウクライナに侵攻しないよう強固な安全の保証を確立するために取り組んでいると言及。「強固な安全の保証は不可欠で、現在その具体化に向けた作業を進めている」と語った。

ロシアのラブロフ外相はロシアとウクライナの首脳会談について、議題の準備が全く整っていないと指摘。「プーチン大統領は首脳会談の議題が整い次第、ゼレンスキー氏と会う用意がある。ただ、議題は全く整っていない」と述べた。

ラブロフ外相の発言についてトランプ大統領は、プーチン氏とゼレンスキー氏は「油と酢」のような関係だとし、両氏が協力できるか「様子を見てみよう」と述べるにとどめた。ただ、ロシアに対する制裁の可能性に言及しながらも、トランプ氏は2026年に米国、カナダ、メキシコが共催するサッカーのワールドカップ(W杯)の観戦をプーチン氏が希望していると言及。「プーチン氏は来るかもしれないし、来ないかもしれない。状況次第だ」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ヤゲオ、芝浦電子へのTOB価格を7130円に再引き

ワールド

北朝鮮、韓国が軍事境界線付近で警告射撃を行ったと批

ワールド

インテル、米政府による10%株式取得に合意=トラン

ワールド

焦点:中国、社会保険料の回避が違法に 雇用と中小企
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子、ホッキョクグマが取った「まさかの行動」にSNS大爆笑
  • 3
    3本足の「親友」を優しく見守る姿が泣ける!ラブラドール2匹の深い絆
  • 4
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 7
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 8
    一体なぜ? 66年前に死んだ「兄の遺体」が南極大陸で…
  • 9
    海上ヴィラで撮影中、スマホが夜の海に落下...女性が…
  • 10
    抽象的で理解の難しい『2001年宇宙の旅』が世に残り…
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 9
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中