シンガポールGDP、第2四半期は前年比4.4%増 25年予測引き上げ
[シンガポール 12日 ロイター] - シンガポール貿易産業省が12日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)改定値は前年同期比4.4%増となり、先月発表された速報値の4.3%増をわずかに上回った。
季節調整済みの前期比では1.4%増加し、速報値と一致した。第1・四半期は0.5%減だった。
同省は今年のGDP伸び率見通しを従来の0.0─2.0%から1.5─2.5%に引き上げ、上半期の好調をおおむね反映していると述べた。同省は4月、米国が世界的な関税措置を発表したことを受け、成長率見通しをそれまでの1.0─3.0%から引き下げていた。
同省は「年内の経済見通しは依然として不透明で、リスクは下向きに傾いている」と声明で指摘した。
バンク・オブ・アメリカのエコノミストは、今年の成長率予想の下限の1.5%では、7─9月、10─12月がそれぞれ1.5%のマイナス成長と想定され可能性として低いと指摘。予想の上限の2.5%については、第2・四半期から第4・四半期の間に成長率が0.4%程度減速することになるとし、「2─2.5%のレンジが最も可能性が高い。当社の予測(1.8%)から上振れる可能性がある」と述べた。
シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)のチーフエコノミスト、エドワード・ロビンソン氏は12日の記者会見で、国内の成長率やインフレ率に影響を与える要因を考慮した上で、MASの金融政策スタンスは引き続き適切だと指摘。
「不確実な状況下での段階的なアプローチは、四半期ごとの政策見直しで適時に評価を更新する上で有益だ」と述べた。
シンガポール企業庁は別の声明で、今年の非石油輸出見通しを1─3%増に据え置くとし、今年は予想以上に好調なスタートを切ったことから、下半期には若干の鈍化が予想されると指摘。
「一般的に、前倒しの活動が徐々に縮小し、相互関税が7日から再開され、世界の経済活動と貿易に重しとなる可能性がある」と述べた。
シンガポールは米国と自由貿易協定を締結し、対米貿易赤字を抱えているが、トランプ政権は10%の関税を課している。
トランプ大統領はまた、米国に輸入される半導体に約100%の関税を課すと表明しているほか、輸入医薬品に対する関税は1年半で150%、その後は250%まで引き上げられるとしている。
米関税が世界貿易を抑制すれば、貿易額がGDPの3倍に上る世界的な海運のハブであるシンガポールにも影響が及ぶとみられる。