今年度成長率0.7%に下方修正、25・26年度の財政収支改善=内閣府

8月7日、内閣府は、政府経済見通しの年央試算と中長期試算を公表し、2025年度の実質成長率を従来(1月閣議決定時)の1.2%から0.7%へ大幅に下方修正した。写真は夕暮れの東京。2023年11月、東京で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Yoshifumi Takemoto
[東京 7日 ロイター] - 内閣府は7日、政府経済見通しの年央試算と中長期試算を公表し、2025年度の実質成長率を従来(1月閣議決定時)の1.2%から0.7%へ大幅に下方修正した。米トランプ関税による内外経済の下押しや物価高による消費抑制を織り込んだ。一方、税収増などにより25年度と26年度の国・地方の基礎的財政収支(PB)見通しはそれぞれ引き上げ、26年度は黒字幅が拡大する。
内閣府は毎年、年末・年始と夏の2回、経済見通しを公表している。足元の詳細な予測を示す年央試算では、25年度の想定為替レートを従来の153.6円から145.7円と円高方向に修正。世界経済の成長率見通しを2.9%から2.5%へ引き下げた。消費者物価指数(CPI、総合)上昇率は年初の2.0%から2.4%に引き上げ、物価上昇などの影響から個人消費の見通しを1.3%増から1.0%増に下方修正した。トランプ関税や世界経済の減速懸念を反映し、設備投資の見通しも3.0%増から1.8%増に引き下げた。
26年度の実質成長率は0.9%に回復する見通し。消費者物価指数上昇率が1.9%と25年度よりプラス幅が縮小することで個人消費が1.1%増とわずかに回復すると期待している。
2034年度までの経済見通しを試算した中長期試算では、年初には4.5兆円の赤字を見込んでいた25年度の国・地方のPB見通しを3.2兆円の赤字に上方修正した。税収が想定より1.6兆円上振れることなどが理由。
26年度のPBについては、年初に「成長移行」シナリオで2.2兆円の黒字、従来並み成長率を想定する「過去投影」シナリオで0.8兆円の黒字を見込んでいたが、今回いずれの試算でも3.6兆円の黒字が確保できると試算した。国土強靭化予算の増加が財政負担を増やすものの、物価上昇率の低下や各種歳出抑制努力が奏功するとみている。