イスラエルによるガザの支援施設付近の攻撃で死者、餓死者も増加

パレスチナ自治区ガザの保健当局は、イスラエルによる4日の銃撃と空爆で少なくとも40人のパレスチナ人が死亡し、うち10人は支援施設付近で食料を求めていたと発表した。ガザで食料の配給を待つパレスチナの人々(2025年 ロイター/Hatem Khaled)
[カイロ/ガザ 4日 ロイター] - パレスチナ自治区ガザの保健当局は、イスラエルによる4日の銃撃と空爆で少なくとも40人のパレスチナ人が死亡し、うち10人は支援施設付近で食料を求めていたと発表した。また、飢餓の状況を監視する国連組織「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」がガザでの食料不足による最悪の飢餓シナリオが進行していると警告する中、直近24時間に5人が餓死した。
現地の医療関係者によると計10人が死亡した場所は、米国とイスラエルが支援する「ガザ人道財団(GHF)」が運営するガザ中部と南部それぞれの支援施設の近く。GHFが5月に活動を開始してから1000人を超える死者が出ており、大部分はGHFの支援施設付近でイスラエル軍に射殺されたと国連は説明する。
イスラエル軍の3日の攻撃で親族を亡くしたパレスチナ人のビラル・タリさん(40)はロイターに対して「そこ(支援施設)に行く人は、小麦粉の袋を持って帰ってくるか、(木製の担架で)殉教者として運ばれて帰ってくるか、負傷して帰ってくるかだ。安全に帰ってくる人はいない」と指摘。その上で「私たちは戦争を望んでおらず、平和を望んでおり、この苦難が終わることを望んでいる。私たちは街頭に立っており、皆飢えており、皆状態が悪い。女性は街頭に立っており、私たちには人間として普通の生活を送るための何も残されておらず、人生はない」と嘆いた。
ガザの保健当局によると、イスラエルとの国境にあるガザ北部ジキムの検問所で国連の援助トラックの到着を待っていたパレスチナ人が3日、少なくとも13人が殺害された。
イスラエルはコメント要請に直ちには応じなかった。
イスラエルはガザでの苦境の原因を、戦闘相手のイスラム組織ハマスに責任転嫁している。その上で、自国は一部地域での戦闘の一時停止、食料の空輸支援、物資輸送トラックの保護ルートの発表などの住民への支援拡大のため措置を講じていると主張する。
<飢餓による死亡者>
ガザの保健当局は4日、直近24時間以内に5人が飢餓や栄養失調で死亡したと発表した。これにより、戦闘開始後の餓死者は計180人となり、うち93人を子どもが占めた。
複数の国連機関は食料の空輸は不十分だとし、イスラエルは物資輸送トラックが入れる台数を大幅に増やし、アクセスを迅速に改善する必要があると訴えている。
イスラエル軍の占領地政府活動調整官組織(COGAT)は、過去1週間に1200台のトラックに搭載された2万3000トンを超える人道支援物資がガザに入ったものの、国連や他の国際機関による配給拠点への運搬がまだ済んでいないトラックが数百台に上ると表明した。
これに対し、ハマスが運営するガザの情報当局は3日、イスラエルが7月下旬に制限を緩和してから600台を超える物資輸送トラックが到着したと発表した。しかし、目撃者やハマスの関係者によると、うちの多くのトラックの支援物資が絶望的な避難民や武装集団によって略奪された。
パレスチナと国連の当局者は、ガザでの人道支援要件を満たすためには1日当たり約600台の物資輸送トラックがガザに入らなければならないと指摘する。これは戦闘前にイスラエルが許可していた台数に相当する。
イスラエルの統計によると、ハマスは2023年10月7日にイスラエル南部を攻撃して1200人を殺害し、251人を人質に取った。イスラエルがハマスに報復して戦闘となり、ガザの保健当局によるとこれまでに6万人を超えるパレスチナ人が死亡している。