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世界の24年の飢餓人口は6.7億人、3年連続で減少=国連報告

2025年07月29日(火)13時11分

 7月28日、国連食糧農業機関(FAO)など5つの国連機関が発表した報告書によると、世界で飢餓に苦しんでいる人口は2024年に約6億7300万人と世界人口の8.2%となり、3年連続で減った。写真は米マサチューセッツ州チェルシーで無料の食料品や服を受け取る住民ら。7月1日撮影(2025年 ロイター/Brian Snyder)

[アジスアベバ 28日 ロイター] - 国連食糧農業機関(FAO)など5つの国連機関が28日発表した報告書によると、世界で飢餓に苦しんでいる人口は2024年に約6億7300万人と世界人口の8.2%となり、3年連続で減った。前年は8.5%だった。

新型コロナウイルス流行期の急増からの減少が続いたものの、コロナ禍前の19年の7.5%を引き続き上回った。南米と南アジアで改善した一方、アフリカの大部分と西アジアで紛争と気候変動の影響によって栄養失調がより深刻化した。

FAOのチーフエコノミスト、マキシモ・トーレロ氏はエチオピア・アジスアベバで開催された国連食料システムサミットでロイターに対し、南米とインドでの食料入手の改善が全体の飢餓人口を押し下げたと説明。一方、アフリカや中東などでの紛争や他の要因がリスクになっているとして「紛争が拡大し、脆弱性も広がり続け、債務圧力が増加し続ければ、(飢餓人口の)数値は再び増加に転じかねない」と指摘した。

国連のグテレス事務総長はサミットに寄せた動画で「紛争はガザからスーダン、およびそれを超えて飢餓を拡大させ続けている」とし、「飢餓は将来の不安定性をさらに助長し、平和を損なう」と問題視した。

報告書「世界の食料安全保障と栄養の現状」は、慢性的で長期的な飢餓に焦点を当てている。イスラエルによるイスラム組織ハマスへの攻撃を受けたパレスチナ自治区ガザなどの一部の紛争地域の状況は完全に反映できていないと説明した。

南米で24年に飢餓状態だった人の割合は3.8%と、前年の4.2%から低下。南アジアでも24年は11%と、前年の12.2%から下がった。

トーレロ氏は、南米では農業生産性の向上と学校給食などの社会制度が下支えしたと指摘。南アジアでの改善は、インドでより健康的な食事を入手できる人が増加したことが主因だった。

一方、アフリカでは人口の5分の1超に当たる3億700万人が慢性的な栄養不足に陥っており、20年前より飢餓が拡大したことを示した。

報告書は、30年までにはアフリカの飢餓人口が世界の飢餓人口の6割近くを占めるとの見通しを示した。

ロイター
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