中豪首脳会談、習氏「さらなる関係発展促進」 懸念が協力制約も

7月15日 中国の習近平国家主席(写真)は15日、北京でアルバニージー豪首相と会談し、オーストラリアと協力して2国間関係を深める用意があると述べた。写真は5月9日、モスクワで撮影(2025年 ロイター/Maxim Shemetov)
Lewis Jackson
[北京 15日 ロイター] - 中国の習近平国家主席は15日、北京でアルバニージー豪首相と会談し、オーストラリアと協力して2国間関係を深める用意があると述べた。
習氏は会談の冒頭、「中豪関係のさらなる発展を促進」する意向を示した。
アルバニージー氏は、中国との関係を重視しており、自由貿易協定の下での「協力の進展」を歓迎すると応じた。また、「対話が両国関係の中心にある必要がある」と指摘。「この地域の平和、安全、安定と繁栄を維持する方法について、オーストラリアの見解と関心、そしてわれわれの考えを示す機会を歓迎する」と述べた。
中国はより深い協力に前向きであることを繰り返し示していた。15日には国営英字紙チャイナ・デーリーが今回の豪首相訪中について好意的な意見記事を掲載し、政治システムが異なる国同士でも協力できることを示すものになると報じた。
しかし、中国の軍事力増強や中国系オーストラリア人作家ヤン・ヘンジュン(楊恒均)氏の収監を巡るオーストラリア側の懸念によって、いかなる協力も制約を受ける可能性が高い。
中国も、重要鉱物投資を巡る豪州の審査強化や、中国へリースしている港湾をオーストラリアの所有に戻すというアルバニージー氏の方針を批判している。
アルバニージー氏は、北京の人民大会堂で習主席と昼食を共にした後、記者団に対し、豪中の貿易関係は、豪州による米関税への対応とは別個のものだと指摘。10年前に締結した豪中の自由貿易協定が見直されることになるとし、首脳会談では脱炭素化を巡る新たな協力の可能性について合意したと述べた。
アルバニージー氏は、中国海軍が2月にオーストラリアとニュージーランドの間のタスマン海で実弾演習を実施したことに懸念を表明したと発言。習主席は「オーストラリアが演習を行っているのと同じように、中国も演習を行っている」と応じたという。
新華社によると、習主席は会談で、両国が引き続き戦略的な相互信頼を強化し、双方にとって好ましいビジネス環境を整備するとともに、複雑な国際情勢の中で「多国間主義と自由貿易を守る」べきだと強調した。