中国、一部で公務員の会食禁止 「倹約令」行き過ぎとの批判も

6月17日、中国で一部の公務員が3人を超えるグループでの会食を禁止されている。宴会で過度な飲酒による死者が出たと報じられ、中央政府が公務員の「倹約令」を徹底していることが背景だが、ソーシャルメディアでは行き過ぎだとの批判も出ている。写真は上海のバー。2020年撮影(2025年 ロイター/Aly Song)
Laurie Chen
[北京 17日 ロイター] - 中国で一部の公務員が3人を超えるグループでの会食を禁止されている。宴会で過度な飲酒による死者が出たと報じられ、中央政府が公務員の「倹約令」を徹底していることが背景だが、ソーシャルメディアでは行き過ぎだとの批判も出ている。
中国政府は5月に共産党員や公務員を対象とする倹約令を改正。豪華な宴会、無駄な巨大インフラ事業、公用車の過度な装備、執務室への観葉植物設置などを禁止した。
同国では湖南省、安徽省、河南省の宴会で過度な飲酒により幹部公務員3人が死亡したことが4月以降、広く報じられた。3省では、宴会の事実を隠蔽し、死亡した家族に私的に補償金を払おうとした公務員数十人が処分される事態となった。
ただ今週、一部の地方自治体で導入された新たな会食指針はさらに踏み込んだ内容となっている。
安徽省の共産党の機関は「職務終了後に同僚と会食することは規則違反か」と題する文書をソーシャルメディアに投稿。社交的な集まりについて幹部に注意を喚起し、上司や部下にごちそうしたり、「小さな派閥」をつくらないよう求めた。
この投稿では「普通の同僚と会食する場合、通常3人以下のグループなら問題ない」とした上で「高級店での会食は避ける、常に同じ人たちと会食はしない、会食を利用して『小さな派閥』をつくってはならない」としている。
この指針を受けて、ソーシャルメディアでは「個人の自由が過度に制限されている」と、公務員の不満が続出。「1人だと快楽主義、2人だと不適切な男女関係、3人だと派閥形成」といった皮肉なコメントも見られる。
山東省のある公務員は「同僚3人で昼食に火鍋を食べに行ったところ、全員が警告処分を受けた」と投稿。四川省の公務員は、職務終了後は必ずまっすぐ帰宅するよう同僚が命じられていたと指摘した。
安徽省の幹部は、職場で毎日、飲酒検査を実施するようになったとし、陝西省の職員は職場の植物を処分するよう命じられたと明かした。
武漢のある国有企業の職員は、上司や他の部署の人と一緒に昼食に行かないよう指示されたという。
もっとも、北京市、広東省、重慶市の公務員3人はロイターに対し、そうした過度な規制は導入されていないと指摘。上司との飲み会が苦痛だったため、こうした規則は歓迎だと話す公務員もいる。
シンガポール国立大学のアルフレッド・ウー准教授は「公務員の飲酒文化は確かに非常に深刻だが、まだ良い解決策が見つかっておらず、画一的な政策しか導入できていない」とし「政府は(景気対策で)消費喚起を目指しているが、習近平国家主席が目指すクリーンな政府の実現には代償が伴う」と語った。