ニュース速報
ワールド

グレタさんらのガザ支援船、イスラエルが拿捕 「セレブのショー終了」

2025年06月09日(月)17時04分

 6月8日、イスラエルのカッツ国防相は、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんらが乗り、イスラエルの海上封鎖を突破してパレスチナ自治区ガザへ支援物資を届けようとしている船を阻止するよう、国防軍に指示したと明らかにした。写真は2日にSNSに投稿されたもの(2025年 ロイター/Freedom Flotilla Coalition)

[エルサレム/アシュドド 9日 ロイター] - イスラエル軍は、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんらを乗せて物資を届けるためにパレスチナ自治区ガザに向かっていた支援船に乗り込み、拿捕(だほ)した。運航する親パレスチナ団体「自由の船隊連合(FFC)」が9日未明に明らかにした。

英国船籍の「マドリーン号」は6日にイタリアのシチリア島を出発し、9日にガザに到着する予定だった。FFCは船が拿捕されたとテレグラムで発表した。イスラエル外務省はその後、船がイスラエル軍の管理下にあることを確認した。

外務省は「『セレブ』たちの『セルフィーヨット』は無事イスラエル沿岸へ向かっている。乗客はそれぞれの母国へ帰国する予定だ」とXに投稿した。

乗客全員が無事で負傷者はいないとし、「サンドイッチと水が提供された。ショーは終わりだ」とコメントした。

FFCが拿捕を明らかにする前、イスラエル外務省は海軍が拡声器でマドリーン号に進路変更を促す動画をXに投稿していた。

イスラエルのカッツ国防相は8日、「私は国防軍にマドリーン号をガザに到着させないために行動することを命じた。反ユダヤ主義のグレタとイスラム組織ハマスのプロパガンダを広める彼女の仲間たちに向かって私ははっきりと言う。ガザには決してたどり着けないのだから、引き返すのが得策だと」と語った。

グレタさんは、イスラエル側の反ユダヤ主義者という批判を一貫して否定している。

ヨットにはコメや粉ミルクなど少量の支援物資が積載されていた。イスラエル外務省は「ヨットに積載され、『セレブ』が消費しなかったわずかな支援物資は、正規の人道支援ルートを通じてガザ地区へ輸送される」と記した。

イスラエルは2007年にイスラム組織ハマスがガザを実効支配した後、沿岸地域に海上封鎖を実施。カッツ氏は、海上封鎖についてハマス殲滅を進めるイスラエルの国家安全保障上不可欠な措置だと主張。「イスラエルはガザにおける海上封鎖を突破することを何人たりとも認めない。封鎖の主要な目的は、ハマスへの武器搬入を阻止することにある」と説明した。

カッツ氏は2023年10月7日にハマスがイスラエルを攻撃した際の残虐行為の映像を船の乗員に見せるよう指示したと語った。

ハマスは拿捕を「国家テロ」であると非難し、グレタさんらの行動を称賛すると述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

8月実質消費支出は前年比+2.3%

ワールド

イスラエルとハマスが間接協議開始、トランプ氏「永続

ワールド

自民の宮沢税調会長交代へ、財政規律派 在任8年=報

ワールド

米イリノイ州、トランプ政権を提訴 シカゴへの州兵派
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 2
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿すると「腎臓の検査を」のコメントが、一体なぜ?
  • 3
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレクションを受け取った男性、大困惑も「驚きの価値」が?
  • 4
    一番お金のかかる「趣味」とは? この習慣を持ったら…
  • 5
    筋肉が育つだけでは動けない...「爆発力」を支える「…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃の「オーラの違い」が話題…
  • 7
    「不気味すぎる」「昨日までなかった...」ホテルの天…
  • 8
    「美しい」けど「気まずい」...ウィリアム皇太子夫妻…
  • 9
    監視カメラが捉えた隣人の「あり得ない行動」...子供…
  • 10
    イエスとはいったい何者だったのか?...人類史を二分…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿す…
  • 7
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 8
    更年期を快適に──筋トレで得られる心と体の4大効果
  • 9
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 10
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中