ニュース速報
ワールド

独有力研究組織の求人に米国からの応募殺到、米大統領の締め付けが影響か

2025年06月02日(月)12時41分

ドイツ政府が予算を拠出し、傘下に多くの研究施設を抱えるマックス・プランク協会(MPG)が若手の女性研究者らを募集したところ、米国からの応募が81件と、昨年の求人での25件の3倍超に膨らんだ。写真はMPGで2021年10月に撮影(2025年 ロイター/Wolfgang Rattay/File Photo)

[ベルリン 30日 ロイター] - ドイツ政府が予算を拠出し、傘下に多くの研究施設を抱えるマックス・プランク協会(MPG)が若手の女性研究者らを募集したところ、米国からの応募が81件と、昨年の求人での25件の3倍超に膨らんだ。トランプ米大統領による締め付けで米国の大学や研究所の将来に不確実性が広がっていることが影響したもようだ。

今年1月に大統領に返り咲いたトランプ氏はさまざまな研究施設への連邦政府の助成金見直しに動いており、先週にはハーバード大学の外国人留学生受け入れ資格を取り消した。

こうした流れを受け、著名歴史家のティモシー・スナイダー氏が米イェール大学を去ってカナダに新たなポストを確保したほか、他の有力研究者らも欧州に居場所を見つけようとしている状況がデータによって裏付けられている。

MPGのパトリック・クラマー会長は「興味深いのは他の地域からの応募件数に変化はないことだ。応募してきた人たちの所属機関に目を向けると、ほぼ半数は(米国の)ハーバード大、スタンフォード大、マサチューセッツ工科大、国立衛生研究所、カリフォルニア大の5つに集中している」と説明。応募者に条件を満たす人材が多くいれば当初予定の12人ではなく、最大20人を採用するために資金の手当てをする計画だと明らかにした。

年間予算が20億ユーロ(23億ドル)を上回り、84の研究施設で2万5000人が働くMPGはこれまでに39人のノーベル賞受賞者を輩出。米国の一流研究機関に匹敵する施設を提供できる世界でも数少ない組織の一つとなっている。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

豪が16歳未満のSNS禁止措置施行、世界初 ユーチ

ワールド

ノーベル平和賞受賞マチャド氏の会見が中止、ベネズエ

ワールド

カンボジア高官「タイとの二国間協議の用意」、国境紛

ワールド

メキシコ、9日に米当局と会談へ 水問題巡り=大統領
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    ゼレンスキー機の直後に「軍用ドローン4機」...ダブ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中