独有力研究組織の求人に米国からの応募殺到、米大統領の締め付けが影響か

ドイツ政府が予算を拠出し、傘下に多くの研究施設を抱えるマックス・プランク協会(MPG)が若手の女性研究者らを募集したところ、米国からの応募が81件と、昨年の求人での25件の3倍超に膨らんだ。写真はMPGで2021年10月に撮影(2025年 ロイター/Wolfgang Rattay/File Photo)
[ベルリン 30日 ロイター] - ドイツ政府が予算を拠出し、傘下に多くの研究施設を抱えるマックス・プランク協会(MPG)が若手の女性研究者らを募集したところ、米国からの応募が81件と、昨年の求人での25件の3倍超に膨らんだ。トランプ米大統領による締め付けで米国の大学や研究所の将来に不確実性が広がっていることが影響したもようだ。
今年1月に大統領に返り咲いたトランプ氏はさまざまな研究施設への連邦政府の助成金見直しに動いており、先週にはハーバード大学の外国人留学生受け入れ資格を取り消した。
こうした流れを受け、著名歴史家のティモシー・スナイダー氏が米イェール大学を去ってカナダに新たなポストを確保したほか、他の有力研究者らも欧州に居場所を見つけようとしている状況がデータによって裏付けられている。
MPGのパトリック・クラマー会長は「興味深いのは他の地域からの応募件数に変化はないことだ。応募してきた人たちの所属機関に目を向けると、ほぼ半数は(米国の)ハーバード大、スタンフォード大、マサチューセッツ工科大、国立衛生研究所、カリフォルニア大の5つに集中している」と説明。応募者に条件を満たす人材が多くいれば当初予定の12人ではなく、最大20人を採用するために資金の手当てをする計画だと明らかにした。
年間予算が20億ユーロ(23億ドル)を上回り、84の研究施設で2万5000人が働くMPGはこれまでに39人のノーベル賞受賞者を輩出。米国の一流研究機関に匹敵する施設を提供できる世界でも数少ない組織の一つとなっている。