国連事務総長、ガザ支援でイスラエル批判 物資配給「ごくわずか」

国連のグテレス事務総長は23日、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの支援について「大量の支援が必要なのに、小さじ一杯の量だ」とごく小規模にとどまっていると批判した。写真はガザに援助物資を運ぶトラック。イスラエル・ガザ国境で22日撮影(2025年 ロイター/Ammar Awad)
Michelle Nichols
[国連 23日 ロイター] - 国連のグテレス事務総長は23日、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの支援について「大量の支援が必要なのに、小さじ一杯の量だ」とごく小規模にとどまっていると批判した。イスラエルが主導して米国が支援する人道援助配給計画に国連が参加しない姿勢を改めて示した。
グテレス氏は記者団に対し、「迅速かつ持続的な支援が行き届かなければ、より多くの人々が命を落とし、住民全体への長期的な影響は甚大なものになる」と述べた。
「国連は、国際法や人道の原則のほか、公平性や独立性、中立性を尊重しない、いかなる計画にも参加しないことを明確にしている」とも強調した。国連や援助団体が、必要な支援物資をガザに届ける独自の計画があることも重ねて示した。
イスラエルは、11週間続いたガザ封鎖を19日に解除し、イスラエルとガザ南部の境界にあるケレムシャローム検問所を経由してトラップ約300台に積載された支援物資がガザに入ったと発表した。しかし、グテレス氏は、治安悪化により検問所からガザの倉庫まで輸送されたのは、トラック積載量の約3分の1に過ぎないと指摘した。
イスラエルが主導し米国が支援するガザへの人道援助配給計画は、ガザ人道財団(GHF)が運営し、民間警備会社が特定の配給地点から支援物資を配る構想。今月末に稼働するまで、国連や援助団体が支援物資の配送を一時的に再開することを許可したものの、国連はこの計画では公平性や中立性といった原則が守られないと懸念している。
イスラエルは、封鎖はイスラム組織ハマスによる支援物資の転用や押収を阻止することが目的の一つだと述べた。一方、ハマスはこうした行為を否定している。