ニュース速報
ワールド

イラク政府とクルド自治区、米企業とのエネルギー開発協定巡り対立

2025年05月21日(水)13時23分

 イラク北部クルド人自治区の政府は20日、米企業2社と独自にエネルギー開発協定を締結したと発表した。写真はマクロン仏大統領との会談のためエリゼ宮に到着したクルド人自治区のネチルバン・バルザニ大統領。4月パリで撮影(2025年 ロイター/Gonzalo Fuentes)

[ドバイ/バグダッド 20日 ロイター] - イラク北部クルド人自治区の政府は20日、米企業2社と独自にエネルギー開発協定を締結したと発表した。採掘期間全体を通じた価値は1100億ドル相当に達するとしており、今回の開発対象は北部の都市スレイマニアにあるミランガス田とトプカナ・クルダミルガス田となる。

一方、イラク政府が合意は無効だと猛反発している。

クルド自治政府が発表した声明によると、同政府のバルザニ首相は自治区住民全てに24時間電力を確実に供給する政策の一環として、エネルギー開発に全力を注ぐとともに、イラク国内の他地域への電力供給にも貢献したいと発言した。

これに対し、イラク石油省は「これらの契約には効力がない。国内の天然資源は全てのイラク国民に帰属し、これらへ投資する取り決めは連邦政府を通じて行う必要があり、法令と憲法を無視してはならない」と主張した。

クルド自治政府の天然資源省は「今回の取引は何年も前に調印した契約に基づいており、それはイラクの裁判所によって法的な有効性が認められている。最近変更されたのは操業する企業で、既存の取り決めの枠組みに従っている」と反論した。

イラク政府とクルド自治政府にとって、北部の石油・天然ガス資源の支配権は長年にわたって緊張関係をもたらす要因になっている。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、EUに対ロシア制裁強化案提示へ 米に代

ビジネス

FRBのドル流動性供給、今後も続くと確信 ECBが

ビジネス

ジュリアス・ベア、株価5%以上急落 1.56億ドル

ワールド

重要鉱物市場、供給混乱のリスク 集中度高まる=IE
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:関税の歴史学
特集:関税の歴史学
2025年5月27日号(5/20発売)

アメリカ史が語る「関税と恐慌」の連鎖反応。歴史の教訓にトランプと世界が学ぶとき

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界の生産量の70%以上を占める国はどこ?
  • 3
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到した理由とは?
  • 4
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 5
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 6
    人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜…
  • 7
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 8
    【裏切りの結婚式前夜】ハワイにひとりで飛んだ花嫁.…
  • 9
    トランプは日本を簡単な交渉相手だと思っているが...…
  • 10
    小売最大手ウォルマートの「関税値上げ」表明にトラ…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 4
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 5
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 7
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 8
    「運動音痴の夫」を笑う面白動画のはずが...映像内に…
  • 9
    ヤクザ専門ライターが50代でピアノを始めた結果...習…
  • 10
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 8
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 9
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 10
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中