アングル:前教皇の路線継承か、国際知名度低い新ローマ教皇「レオ14世」

5月8日、 米国出身者として初めてローマ教皇に選ばれ、「レオ14世」を名乗るロバート・プレボスト枢機卿はキャリアの大半をペルーでの宣教師活動に費やしてきた。写真は同日、サン・ピエトロ大聖堂のバルコニーで信者らに手を振る新教皇(2025年 ロイター/Stoyan Nenov)
Joshua McElwee
[バチカン市 8日 ロイター] - 米国出身者として初めてローマ教皇に選ばれ、「レオ14世」を名乗るロバート・プレボスト枢機卿(69)はキャリアの大半をペルーでの宣教師活動に費やしてきた。枢機卿に任命されたのは2023年と比較的最近で、これまでメディアへの露出も少なく、国際的な知名度は低い。
1970年代からプレボスト氏と親しい関係にあり、現在は米国の修道会で管区長を務めるマーク・フランシス神父によると、プレボスト氏は前教皇の職務、特に社会正義への取り組みを強く支持していた。「常に親しみやすく温かい人物で、貧しい人々への教会の働きかけに関して常識的で実際的な視点を持ち続けていた。皮肉めいたユーモアのセンスはあるが、注目を集めようとする人物ではなかった」
プレボスト氏は2015年から23年までペルー北西部のチクラヨで司教を務めた。15年にはペルー国籍も取得し、現在は米国とペルーの二重国籍を有している。その後前教皇フランシスコによってローマに呼び寄せられ、司教の選出を担当するバチカンの司教省長官に任命された。
カトリック教会が抱える多くの問題に対し、プレボスト氏がどのような見解を持っているのかはまだよく分かっていない。
プレボスト氏は23年のバチカンでの記者会見で、女性を聖職者として叙階(聖職者を任命する秘跡)することに懐疑的な立場を示し、女性を「聖職者化」するリスクについて前教皇がよく用いた表現を繰り返した。
聖職者による性的虐待はカトリック教会にとって重要な問題だが、プレボスト氏のこの課題への対応については十分な検証が行われていない。
性的虐待を調査している団体「ビショップ・アカウンタビリティ」は新教皇選出後の声明で、この問題に対するプレボスト氏の過去の対応について「評価が分かれる」と指摘。ペルーで1人の被害者を支援した取り組みを評価する一方、2人の司祭に対する他の申し立てへの対応には疑問を呈した。
チクラヨのカトリック団体でコーディネーターを務め、18年からプレボスト氏と親交のあるヘスス・レオン・アンヘレス氏は「まったく気取らず」、他人を助けるために全力を尽くす人物だと証言した。ペルーに暮らすベネズエラ移民に特別な関心を示していたという。
プレボスト氏は23年のバチカンのニュースメディアとのインタビューで、教会の成長には福音宣教が重要であると述べた。また同じ年のバチカンでの記者会見では「われわれの仕事はテントを広げ、誰もが教会の中に歓迎されていると感じられるようにすることだ」と語った。
<耳を傾けることができる人>
1955年生まれのプレボスト氏は、共同体の生活と会員間の平等を重視する世界規模の修道会「聖アウグスチノ修道会」のメンバー。同修道会は約2500人の司祭と修道士を擁し、50カ国で活動している。
米東部フィラデルフィアの近郊にあるビラノバ大で学士号を取得し、シカゴのカトリック合同神学校で修士号、ローマの聖トマス・アクィナス大で教会法の博士号を取得した。1985年に宣教師として初めてペルーに渡り、99年に修道会の指導的役職に就くため米国に戻った。
その後、ローマに移り聖アウグスチノ修道会の総長を2期12年務めた。英語、スペイン語、イタリア語、フランス語、ポルトガル語を話すことで知られている。
2023年にローマに戻ってからは、多く開催されているバチカン関係者向けの社交イベントにはあまり参加していない。
アンヘレス氏はプレボスト氏について、リーダーシップを持ちながらも「人の話を聞くことができる人物」で、それが彼の美点だという。「たとえそれが最も素朴で腰の低い人が発したものであっても、彼らの意見を求める礼節を備えている。誰の意見にも耳を傾ける術を知っている」と評価した。