米国防長官、トランス兵士らが自主離職しなければ強制解雇命令へ

5月8日、ヘグセス米国防長官が、心と体の性が異なるトランスジェンダーの兵士らを6月6日までに米軍から自主的に離職させ、従わない場合には強制的に解雇するように命じたことがロイターの確認した内部文書で明らかになった。写真はペンタゴン。2020年10月撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)
[ワシントン 8日 ロイター] - ヘグセス米国防長官が、心と体の性が異なるトランスジェンダーの兵士らを6月6日までに米軍から自主的に離職させ、従わない場合には強制的に解雇するように命じたことがロイターの確認した内部文書で明らかになった。
バイデン前大統領(民主党)はトランスジェンダーであることを公言している人たちが軍務に従事するのを認める政策を進めた。これに対し、トランプ大統領(共和党)は就任初日の1月20日に連邦政府が認めるのは男性と女性の2つの性別だけで、変更はできないとする大統領令を出した。また、トランスジェンダーの兵士らを米軍から排除するトランプ氏の方針について、今月6日に米連邦最高裁が容認する判断を示している。
これでトランスジェンダーの新規入隊が拒否されるとともに、今回の内部文書からは数千人いるとされるトランスジェンダーの除隊処分を急いでいることが浮き彫りになった。
ヘグセス氏は内部文書で、トランスジェンダーの兵士が6月6日までならば「自主的な退役」を申し出ることができるとした。予備役の場合、この期限は7月7日となる。
その上で、自主的に退役を申請できる期間が過ぎた後には「軍は非自発的な離職プロセスを開始する」と記した。
国防総省はコメントの要請にすぐには応じなかった。
LGBTQ(性的少数者)の支援団体、グラッドローのシニアディレクター、ジェニファー・レビ氏はロイターの取材に「本当に恥ずべきことだ」と批判し、「基準を満たし、国を守るために命をかけている人たちを軍からさっさと追い出そうとすることは無意味だ」と訴えた。
調査会社ギャラップが2月に発表した米国人に対する世論調査によると、トランスジェンダーを公言している人が軍務に従事することへの賛成は58%に達したが、19年調査の71%から低下していた。