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米、開発資金巡る改革案に反対意向=国連会議草案文書

2025年05月06日(火)03時05分

ロイターが入手した国連の内部文書で、米国が気候変動の影響などに苦しむ発展途上国を支援するための国際合意を弱体化させようとしている可能性があることが分かった。(2025年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)

[ブリュッセル/ロンドン 5日 ロイター] - ロイターが入手した国連の内部文書で、米国が気候変動の影響などに苦しむ発展途上国を支援するための国際合意を弱体化させようとしている可能性があることが分かった。

スペインで6月に開かれる第4回開発資金国際会議に向け、メキシコ、ネパール、ノルウェー、ザンビアの各代表が国連事務局と共に作成した文書の草案をロイターは入手。文書は4月11日付で、193カ国の立場が記されている。このうち米国が課税や化石燃料補助金、信用格付けといった項目に反対。トランプ政権が「米国第一主義」を掲げる中、「気候」「ジェンダー平等」「持続可能性」といった記載を削除することも求めている。

開発資金国際会議は10年ごとに開かれ、世界の開発金融を巡る戦略を議論する。草案は今後、さらに変更される可能性が高い。

第3回会議では、開発途上国がルール設定に参画できるよう税務面の協力拡大に合意し、2024年5月時点で140カ国以上が参加している。

気候変動問題への対応を重視する世界銀行と国際通貨基金(IMF)の改革を巡っては、ベセント米財務長官が反発しており、立場の違いが鮮明になっている。

開発資金国際会議の草案に対し、米国は、持続可能な開発に向けた「改革パッケージ」に関する記載を削除するよう要求。「国際金融の抜本的な改革を約束する」という文言を「今後の課題と危機に対応できるよう、回復力と有効性を高める必要性を認識する」との表現に置き換えることを求めている。

草案には、持続可能な開発の資金調達のため、高汚染活動や超富裕国への課税に切り込む可能性のある「グローバル連帯課税」の検討を各国に求める条項が含まれている。これに関しては米国のほかロシア、サウジアラビア、中国なども反対している。

米国は、企業に対して事業展開先の国が納税を求める条項や、化石燃料補助金を段階的に廃止することに関する項目の削除も求めている。

国連の広報担当官はロイターに対し、グテレス事務総長は複数の課題があることを認めているものの、全ての国が会議で解決策に焦点を当てて参加するよう促している、と説明した。

ロイター
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