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米韓、関税撤廃目指し協定作成で合意 7月上旬までに=韓国高官

2025年04月25日(金)13時37分

ベッセント米財務長官は4月24日、トランプ大統領が課すと表明した「相互関税」を巡る韓国との貿易交渉が「非常に成功した」との認識を示した。4月15日、ピョンテク市の港湾で撮影(2025年 ロイター/Kim Hong-Ji)

Jihoon Lee Joyce Lee Nandita Bose

[ソウル/ワシントン 25日 ロイター] - 韓国と米国は、相互関税の一時停止が7月に解除される前に米国の関税撤廃を目指した協定を作成することで合意した。ワシントンでの協議後、韓国の代表団が明らかにした。

ベッセント米財務長官は24日、韓国との1回目の貿易交渉が「非常に成功した」との認識を示した。ホワイトハウスで報道陣に語った。

トランプ米大統領は韓国からの輸入品に25%の「相互関税」を導入することを発表しており、韓国は見直しを求めている。ベッセント氏は韓国の崔相穆企画財政相および安徳根産業通商資源相との交渉について「私が思っていたよりも早く進み、早ければ来週にも高度な課題について話し合うことになるだろう」と述べた。

両国とも合意の可能性のある分野について詳細を明らかにしなかったが、韓国は声明で、相互関税および特定品目関税の適用除外を要請し、造船とエネルギー、貿易不均衡の解消で協力することを申し出たことを明らかにした。

安産業通商相は記者団に「今後の協議の枠組みについて大筋合意した。協議の範囲と構成を決定するため、来週実務者協議を開催することでも合意した。7月8日までに『7月パッケージ』を作成することを目標としている」と語った。

崔企画財政相は、5月15─16日に韓国でグリア米通商代表部(USTR)代表との協議が行われる予定を明らかにし「非関税措置、経済安全保障、投資協力、通貨政策の4つの主要分野に焦点が当てられる」と述べた。

元韓国産業通商資源省通商交渉本部長の呂翰九氏は、交渉の進展状況について双方の認識に相違があるとし、韓国が7月の期限ごろの合意を目指す可能性を示しているのに対し、ベッセント氏は早ければ来週にも「理解に関する合意」が得られると示唆したと指摘。

「『7月パッケージ』という表現は韓国が合意を急がないことを示している」とし、「米側が合意したかは疑問だ」と語った。

<自動車に重点>

崔氏は、韓国は最も大きな影響を受ける自動車部門に特に重点を置いていると述べた。また、企画財政省と米財務省が通貨政策について個別に協議を行うとした。防衛費については一切触れられなかったと述べた。防衛費は貿易交渉とは別の問題との認識を示した。

安産業通商相は、二国間自由貿易協定の再交渉については言及がなかったと述べた。

韓国側はまた、協議のプロセスが「政治日程」によって影響を受ける可能性があることについて米国側に理解を求めた。韓国では尹錫悦・前大統領が非常戒厳の布告を巡り弾劾訴追・罷免されたのを受けて、6月3日に大統領選が実施される。

専門家は、韓国が大統領代行の下でエネルギー計画や防衛費について確約するのは難しいとの見方を示している。

関係筋によると、トランプ氏の「国家エネルギー支配評議会」は6月初旬にアラスカ州でサミット会合の開催を予定しており、日本と韓国がアラスカ液化天然ガス(LNG)プロジェクトへのコミットメントを表明することを期待している。

安氏は韓国がコミットメントを発表する計画は承知していないとした上で、プロジェクトを精査中で、日本や台湾など他の主要LNG輸入国と実現可能性について意見を交わしていると述べた。

韓国によると、米側は先の報告書で言及したデジタルサービス分野における非関税障壁の問題も提起したという。米報告書はネットワーク使用料を義務付け、競争を規制し、個人データの移転などを制限する韓国の法律が非関税障壁に当たると指摘していた。

ロイター
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